「会計で1万円以上取られて、明細を見た瞬間おかしいと分かった。」
この内容で、その金額になるはずがない。
指摘すると、店員は一瞬固まってから言った。
「そちらの注文ミスでは?」
……は?
さらに、
「監視カメラ、今壊れてるので確認できません」
と続ける。
逃げ場を潰された気がした。
でも——
私はその場で言った。
「じゃあ、レジ履歴で確認するしかないですよね?」
その瞬間、
店員の目が泳いだ。
少し間があって、
「……それは、権限がないので…」
と、急に言い方が変わる。
さっきまでの強気は、もうなかった。
その時——
奥から店長が出てきた。
「どうされましたか?」
落ち着いた声だった。
私はレシートを差し出した。
「この金額、おかしいと思うんですが」
店長は目を通すと、
すぐに店員の方を見た。
「レジ履歴、出して」
短く、それだけだった。
店員は一瞬固まった。
でも、もう断れなかった。
「……はい」
さっきより明らかに小さい声で答える。
レジの操作が始まる。
画面が切り替わる。
店内は妙に静かだった。
さっきまでの空気とは違う。
誰も口を挟まない。
全員、結果を待っている。
数秒後——
履歴が表示された。
店長はそれを見て、
一つ一つ指で確認していく。
そして、
あるところで手が止まった。
「……これ、重複してるね」
その一言だった。
空気が変わった。
店員の顔が、
一気に崩れた。
完全に、分かってしまった顔だった。
店長はそのまま私に向き直った。
「申し訳ありません。こちらの入力ミスです」
言い訳はなかった。
その場で、
差額が返金された。
「大変失礼いたしました」
店員も、小さく頭を下げた。
さっきまでの態度とは、
まるで別人だった。
私はレシートを受け取りながら、
少しだけ息を吐いた。
正直、
最初から確認してくれれば、
ここまでにはならなかったと思う。
でも——
あの時、引かなくてよかった。
「確認できません」と言われた時ほど、
一番確認しないといけないんだと思った。
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