レジでもらった一枚のレシートを見て、なぜか泣きそうになった。
仕事帰りのスーパーだった。
合計は4,936円。
別に高級なものを買ったわけじゃない。
明日の朝のパン、牛乳、少しの野菜、洗剤、冷凍食品。
どれも生活に必要なものばかりだった。
それなのに、レシートの「合計」という文字を見た瞬間、胸の奥がぎゅっと苦しくなった。
「ああ、私、疲れてるんだな」
そう思ったら、急に鼻の奥がツンとした。
その時だった。
一緒に帰っていた同僚が、私の顔をのぞき込んで笑った。
「え、なに? レシート見て泣きそうなの?」
私は慌てて首を振った。
「いや、ちょっと疲れてるだけ」
すると彼女は、わざとらしくため息をついた。
「不就买个东西吗……って感じ。そんなことで落ち込む? みんな疲れてるんだよ」
その言葉が、思った以上に刺さった。
私は何も言い返せなかった。
確かに、みんな疲れている。
私だけが大変なわけじゃない。
そう自分に言い聞かせてきたから、余計に何も言えなかった。
でも、その一週間を思い返すと、胸の中に小さな火が灯った。
月曜は、急な資料修正。
火曜は、先方からの無茶な差し戻し。
水曜は、彼女が「子どもの用事で」と早退した分のフォロー。
木曜は、上司の確認漏れの尻拭い。
金曜は、終業直前に投げられた緊急対応。
誰かが帰った後も、私は残った。
誰かが「お願い」と言った仕事を、私は断らなかった。
誰かがミスをしても、私は責めずに直した。
なのに、たった一度、レシートを見て疲れた顔をしただけで、
「矫情」みたいに笑われるのか。
その夜、私は家に帰ってから、いつものように黙って寝なかった。
パソコンを開き、今週自分が対応した仕事を全部書き出した。
修正回数。
代理対応。
残業時間。
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