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「ここ、授乳室ですよね?」新幹線で赤ちゃんが泣き続ける中、20分待っても誰も出てこない密室。車掌さんに開けてもらった瞬間、中で耳ホンをつけて眠っていた女性の一言に、周囲の空気が凍った…
2026/06/25

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新幹線の授乳室を二十分待った結果、中にいたのは赤ちゃんではなく、耳ホンをつけて熟睡している女性でした。

その日、私は生後数か月の娘を連れて新幹線に乗っていました。

出発前にミルクも済ませ、おむつも替えて、できる限り周りに迷惑をかけないよう準備していたつもりです。

けれど赤ちゃんの機嫌は、大人の予定通りにはいきません。

乗車してしばらくすると、娘が小さくぐずり始めました。

最初は抱っこで揺らせば落ち着くかなと思い、通路の端でそっと背中をさすっていました。

でも泣き声はだんだん大きくなり、顔も真っ赤になっていきました。

「ああ、もうお腹が限界なんだ」

そう思って、私は急いで授乳室のある場所へ向かいました。

ところが、授乳室のドアには使用中の表示が出ていました。

中で他のお母さんが使っているなら仕方ない。

そう思って、私は娘を抱いたまま静かに待ちました。

五分。

十分。

十五分。

それでも中からは、赤ちゃんの声も、人が動く気配も、まったく聞こえませんでした。

娘はもう声を震わせて泣いていました。

周りの乗客の視線も、少しずつ痛くなってきました。

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ある男性はちらっとこちらを見て、わざとらしくため息をつきました。

別の女性はイヤホンをつけ直しながら、顔をしかめました。

まるで、私が好きで赤ちゃんを泣かせているみたいでした。

私は何度も小さな声で「すみません」と言いながら、娘の背中をさすりました。

でも、本当に謝るべき相手は誰なんだろう。

泣いている赤ちゃんなのか。

待っている私なのか。

それとも、授乳室をずっと占有している中の誰かなのか。

迷った末、私はそっとドアをノックしました。

「すみません、赤ちゃんが泣いていて……もう少しで終わりそうでしょうか」

返事はありませんでした。

もう一度、少しだけ強めにノックしました。

やっぱり何も返ってきません。

中で具合が悪くなっている人がいるのかもしれない。

そう思うと、不安にもなりました。

私は近くを通った車掌さんに声をかけました。

「授乳室がずっと使用中で、二十分以上誰も出てこないんです」

車掌さんはすぐに表情を引き締め、授乳室の前まで来てくれました。

「中の方、いらっしゃいますか」

車掌さんが何度か声をかけても、返事はありませんでした。

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周囲の人たちも、だんだんこちらを見始めました。

すると車掌さんは状況を確認したうえで、扉を開ける手配をしてくれました。

そして、ドアが開いた瞬間。

私は思わず言葉を失いました。

中にいたのは、赤ちゃん連れの人ではありませんでした。

若い女性が一人、ベンチに横になり、耳ホンをつけたまま眠っていたのです。

足元には大きなバッグ。

隣には飲みかけのペットボトル。

授乳室は、完全にその人の個室になっていました。

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