「また間違えました〜じゃねぇんだよ!!」
深夜23時。
仕事を終えて帰宅した私は、自分の月極駐車場を見て、思わず声が出た。
――また停められている。
しかも今回で3回目だった。
私の親が契約している27番。
なのに両隣の利用者が、ほぼ毎回のように間違える。
最初は我慢していた。
「疲れてたんだろうな」「暗くて見えにくいし」
そう思って、こちらが折れていた。
でもある日、朝から出勤しようとした時、見知らぬ車が堂々と停まっていて出られなかった。
慌てて管理会社へ電話。
すると返ってきたのは、
「今後改善しますので〜」「そのうち番号塗り直しますので〜」
……そのうち?
いや、こっちは“今”困ってるんだけど?
しかも、その“そのうち”が、数ヶ月続いていた。
さらに腹が立ったのは、停め間違えた側の態度だった。
「番号見えないし仕方ないでしょ」
「空いてたからいいかと思って」
「たかが駐車場でしょ?」
――たかが?
こっちは毎月金払ってるんだよ。
GWに入ってからは最悪だった。
帰省客なのか、知らない車まで停まり始めた。
ある夜なんて、両隣どっちも違う車。
さすがに頭にきた。
管理会社へ再度連絡。
でも返ってきたのは、いつものテンプレ。
「担当に伝えておきます」
……もういい。
その瞬間、私は完全にキレた。
翌日、ホームセンターへ向かった。
白テープ。黒スプレー。養生材。
全部買った。
夜、誰もいなくなった駐車場で、私は一人しゃがみ込んだ。
薄れていた“27”を、自分で描き直した。
しかも、誰が見ても間違えないくらい、デカく。
「そこまでする?」
と笑う人もいるかもしれない。
でも、毎回迷惑を受ける側は、笑えないんだよ。
翌朝。
駐車場を見た瞬間、私はちょっと笑ってしまった。
今まで散々停め間違えていた車たちが、見事に27番だけ避けていた。
やればできるじゃん。
結局、見えてなかったんじゃない。
“適当に停めてただけ”だったんだ。
すると昼頃、管理会社から電話が来た。
「勝手に番号を書き換えるのはちょっと……」
は?
その瞬間、ずっと溜め込んでいたものが爆発した。
私は、今まで撮っていた写真を全部送った。
停め間違いの記録。
日付。
時間。
問い合わせ履歴。
電話の録音。
「“そのうち対応”って何ヶ月言ってました?」
「私たちが迷惑受けてる間、何してたんですか?」
電話の向こうが黙った。
さらに私は続けた。
「今日中に直すなら消します。直さないなら、このまま使います」
その日の夕方。
管理会社の人間が3人来た。
業者まで連れて。
そして翌日には、駐車場の番号が全部新品みたいに塗り直されていた。
最初からやれよ。
しかも、今まで適当に停めていた連中が、妙に慎重になった。
27番の前で何回も確認してる。
正直、ちょっと笑った。
後日、隣の契約者のおじさんがボソッと言った。
「管理会社より、あんたの方が仕事早かったな」
……ほんとそれ。
結局、一番迷惑を受けてた人間が動かないと、誰も本気で対応しない。
日本って、そういうこと多すぎると思う。