スマホに通知が来た。
「配送完了しました」
娘の誕生日プレゼントだった。
朝からずっと楽しみにしていた荷物。
娘は何度も玄関を見に行って、
「もう来た?」
「まだ?」
と聞いていた。
私はそのたびに笑って言った。
「もうすぐ届くよ」
でも、通知が来たのに、玄関には何もなかった。
ポストにもない。
宅配ボックスにもない。
門の横にも、車庫の中にも、家の周りにもない。
「え、どこ?」
私は少し焦りながら、もう一度スマホを確認した。
画面には、はっきりと表示されている。
配送完了。
でも、荷物はない。
娘はリビングで待っていた。
「届いた?」
その顔を見た瞬間、胸がチクッとした。
誕生日プレゼントだ。
ただの荷物じゃない。
娘がずっと楽しみにしていた、今日の主役みたいなものだ。
「ちょっと確認してくるね」
そう言って外へ出ようとした時、ちょうど夫がゴミ出しに行った。
今日は生ゴミの日だった。
うちの地域は回収が少し遅くて、14時から15時くらい。
だから、まだゴミは回収されていなかった。
それが、今回だけは本当に幸運だった。
数分後、夫が戻ってきた。
その手には、見覚えのあるAmazonの箱。
でも、その表情は全然笑っていなかった。
「これ、ゴミ捨て場に置いてあった」
一瞬、意味が分からなかった。
「え?」
「ゴミ捨て場。生ゴミの横。草とか袋の近くに置かれてた」
私は箱を見た。
そこには、うちの住所と名前が貼られていた。
間違いなく、娘の誕生日プレゼントだった。
玄関でもなく、宅配ボックスでもなく、ポストでもなく。
ゴミ捨て場。
生ゴミの袋が並ぶ場所。
雑草が積まれ、段ボールが置かれ、誰が見ても“ゴミ置き場”だと分かる場所。
そこに、娘の誕生日プレゼントが置かれていた。
控えめに言って、ひどい。
本当にひどい。
もし夫がゴミ出しに行かなかったら?
もし回収がいつもより早かったら?
もし清掃の人が、段ボールごと回収していたら?
娘のプレゼントは、何も知らないままゴミとして消えていたかもしれない。
私は怒りで手が震えた。
配送員にとっては、ただの一個の荷物かもしれない。
一日に何十個も運ぶ中の、ただの段ボール一つかもしれない。
でも、こちらにとっては違う。
それは娘が楽しみにしていた誕生日プレゼントだった。
何日も前から選んで、今日届くのを待っていたものだった。
「送った」
「届いた」
「完了」
そんなシステム上の文字だけで済ませられるものじゃない。
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