その日、ふと手のひらを見たら
赤いポツポツがびっしり出ていた。
かゆみはほとんどない。
でも見た目が明らかにおかしい。
最初は「乾燥かな」と思っていた。
でも次の日も、その次の日も消えない。
むしろ増えてる気がする。
気になってネットで検索したら
一番上に出てきたのが――
「梅毒(第2期)の症状:手のひらの発疹」
……一気に血の気が引いた。
いやいや、ちょっと待て。
そんな覚えはない。
この年になって、そんなことあるか?
でも画像を見れば見るほど
自分の手とそっくりで、余計に怖くなる。
誰にも相談できず、
一人で悩んで、結局病院へ行った。
診察室で医者に手を見せると
少しだけ間を置いて、こう言われた。
「確かに似てますね。一応、検査しましょう」
その瞬間、頭の中は完全にパニックだった。
もし本当にそうだったら?
家族には?仕事は?
いろんなことが一気に押し寄せる。
血液検査をして、結果待ち。
数日後、呼び出されて
恐る恐る結果を聞いた。
「梅毒ではありません」
……全身の力が抜けた。
じゃあ、この発疹は何だったのか。
医者がさらっと言った。
「これは“接触性皮膚炎”ですね。
最近、洗剤とか変えませんでした?」
その一言で思い出した。
ちょうどその頃、
安い業務用の洗剤に変えたばかりだった。
素手で使っていた。
原因、それかよ。
あれだけ悩んで、
人生終わったかと思ったのに。
帰り道、思わず苦笑いした。
でも同時に思った。
ネットの情報って、便利だけど
一歩間違えると人をここまで追い詰めるんだなって。
同じように「これヤバいかも…」って思ってる人、
とりあえず検索より先に、病院行った方がいい。
ほんと、心臓に悪いから。