友人に「めちゃくちゃうまい店がある」と誘われたのは、仕事終わりの夜だった。
駅裏の古い雑居ビルの地下。
看板も小さく、
店内も薄暗い。
普通の居酒屋とは違う、
ちょっと怪しい雰囲気だった。
席につくと、
店員が大きな鍋料理を持ってきた。
濃い色のスープに、
ゴロゴロした肉。
香辛料の匂いが強く、
何の肉かはよく分からない。
私は普通に聞いた。
「これ、何の肉なんですか?」
すると店主は笑いながら言った。
「まあ細かいこと気にしないで。食べれば分かるよ」
周りの客も誰も気にしていない。
友人も、
「ここ、常連しか知らない隠れ名店だから」
と笑っていた。
私は少し違和感を覚えたものの、
深く考えず箸を伸ばした。
肉は柔らかく煮込まれていて、
独特の臭みがある。
でも味付けが濃く、
酒には合った。
店内ではみんな普通に食べていて、
私もだんだん警戒心が薄れていった。
でも――。
何口か食べた時だった。
ガキッ。
突然、
歯に硬い感触が当たった。
「骨かな?」
そう思って口から出した瞬間。
私は凍りついた。
銀色の小さな金属片。
しかも、
不自然なくらい綺麗だった。
骨じゃない。
私は手のひらに乗せ、
じっと見た。
細長いプレート。
小さなネジ穴。
その形を見た瞬間、
背筋が寒くなった。
……これ、
医療用の骨固定プレートだ。
昔、実家で飼っていた犬が骨折した時、
動物病院で見せられたものとそっくりだった。
私は一気に気持ち悪くなった。
隣の友人はまだ笑っている。
「なんだよ?石でも入ってた?」
私は震える手で、その金属を見せた。
すると友人の顔も止まる。
店内の空気が静かに変わった。
私はゆっくり店主を見た。
「……これ、何の肉なんですか?」
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
引用元:,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]