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「そのネイル不快。病院でオシャレするな」患者が本気クレーム→掲示板に貼られた結果、待合室の空気が一変した件
2026/03/20

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病院の掲示板に貼られた一枚の紙を見たとき、思わず足が止まった。そこには大きくこう書かれていた。

――「医療従事者がおしゃれをするのは不快です。ここは病院です。オシャレは休日にして下さい。」

最初は冗談かと思った。でも日付も押されていて、どう見ても本物の「患者からのご意見」だった。

私はその病院で働く看護師だ。

あの日も、いつも通り朝から外来が混み合っていた。インフルエンザ、発熱、腹痛、転倒。受付は朝からバタバタで、私はカルテを運びながら診察室を何度も往復していた。

その時だった。

待合室から、急に声が飛んできた。

「ちょっと!」

振り向くと、五十代くらいの女性患者がこちらを睨んでいた。

「はい、どうされましたか?」

近づくと、その女性は私の手元をじっと見て、眉をひそめた。

「その爪、何?」

一瞬、意味が分からなかった。よく見ると、女性は私の指先を指さしている。

確かに私は薄いベージュのネイルをしていた。派手なものではない。病院の規定でも問題ない、目立たない色だ。

「仕事中にそんな爪でいいんですか?」

その言い方は、まるで犯罪者でも見るようだった。

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「清潔面には問題ありませんし、業務にも支障はありませんが…」

そう説明すると、女性は鼻で笑った。

「患者は苦しんでるのに、あなたはおしゃれ?」

待合室が、シン…と静かになった。

周りの患者たちもこちらを見ている。

私は一瞬言葉を失った。

「ここは病院ですよ?遊びに来てるんじゃないんです」

女性はさらに続けた。

「医療従事者なら、もっと患者の気持ち考えなさいよ」

私は何も言い返さなかった。言っても無駄だと、なんとなく分かったからだ。

その日はそれで終わった。

でも――

数日後。

院内の掲示板に、例の紙が貼られた。

「患者様からのご意見」

そこには、あの女性が言った言葉とほとんど同じ内容が書かれていた。

「医療従事者がキラキラしていると患者は良い気がしません」

「ここは病院です。オシャレは休日にして下さい。」

私はその紙の前で、しばらく立ち尽くしていた。

すると後ろから、同僚の看護師が苦笑いした。

「またクレームか」

「……ですね」

彼女はため息をついた。

「私たち、昨日も残業4時間だよ?」

確かにそうだった。

夜勤、急患、クレーム対応。それでも笑顔で患者に接している。

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なのに――

「ネイルが気に入らない」

それだけでクレーム。

そこへ、主任がやってきた。

「見た?」

私はうなずいた。

「病院としてはどうするんですか?」

主任は少し考えてから言った。

「規定の範囲なら問題ない。特に禁止にはしない」

その言葉に、少しだけ安心した。

だが――

その日の午後。

例の女性患者が、また受付に現れた。

そして掲示板の前で腕を組みながら言った。

「ちゃんと対応したの?」

私はその場にいた。

女性は私を見ると、あからさまに顔をしかめた。

「まだその爪?」

その瞬間だった。

近くにいた年配の男性患者が、ぽつりと口を開いた。

「お嬢さん」

女性が振り向く。

「看護師さんは、朝からずっと働いてるの見てたよ」

男性は杖をつきながら続けた。

「私が転びそうになった時も、すぐ来てくれた」

待合室の空気が変わった。

男性は静かに言った。

「爪より大事なものがあるだろ」

女性の顔が少し強張る。

すると別の患者が言った。

「俺もそう思う」

さらに後ろから声が上がった。

「そんなこと気にしたことないよ」

「助けてもらえればそれでいい」

一瞬で、空気が逆転した。

女性は周りを見回した。

さっきまで味方がいると思っていたのに、誰も同調しない。

女性は舌打ちして言った。

「もういいです」

そしてそのまま受付を離れ、病院を出ていった。

待合室に、小さな拍手が起きた。

私は思わず頭を下げた。

その日以来、掲示板の紙はそのまま残っている。

でも、誰もそれを気にする人はいなかった。

代わりに、あの紙を見るたびに思う。

患者の痛みは理解する。

でも――

医療従事者だって、人間だ。

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