50代、無職。
履歴書のその欄を見るたびに、正直、胸が少し痛んだ。
若い頃みたいに勢いで何でも挑戦できる年齢ではない。
ブランクもある。
体力だって、昔と同じとは言えない。
それでも私は、今日、面接に行くことにした。
朝から心臓が落ち着かない。
鏡の前で何度も髪を整え、服のシワを確認し、履歴書をバッグに入れた。
「大丈夫。行くだけ行ってみよう」
そう自分に言い聞かせても、足は少し震えていた。
面接会場に着いた瞬間、さらに心臓が跳ねた。
待合室には、若い応募者ばかり。
きれいなスーツを着た20代らしき人たちが、スマホで企業情報を確認したり、静かに資料を読んだりしている。
その中に、50代の私。
正直、場違いだと思った。
「やっぱり帰ろうかな」
そんな弱気が一瞬、頭をよぎった。
でも、ここまで来た。
履歴書も出した。
逃げて帰ったら、今日の私はきっと明日の私に胸を張れない。
名前を呼ばれ、私は面接室に入った。
面接官は二人。
最初の表情は、決して優しくはなかった。
履歴書に目を通した一人が、淡々と聞いてきた。
「この期間、お仕事はされていなかったんですね」
「はい」
「年齢的にも、未経験の仕事を始めるのは簡単ではないと思いますが、大丈夫ですか?」
その言葉に、胸の奥がきゅっとなった。
やっぱり来た。
年齢。
ブランク。
未経験。
面接で必ず聞かれると分かっていたけれど、実際に言われるとやっぱり刺さる。
でも、私はそこで下を向かなかった。
「正直、不安はあります」
そう答えた。
面接官の目が、少しだけ動いた。
「でも、不安があるからこそ、私はいい加減なことはしません。分からないことは確認しますし、できないことをできるとは言いません。その代わり、覚えると決めたことは最後までやります」
部屋の空気が、少し変わった気がした。
私は続けた。
若い頃にしてきた仕事。
家庭のこと。
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