「これ、払わなきゃダメ?私、女なんだけど?」
彼女が自動車税の通知書を片手にそう言った瞬間、私は本気で聞き間違いかと思った。
通知書には、はっきりと「45,400円」と書かれている。
納期限もきっちり印字されている。
しかも車の名義は、彼女本人。
それなのに彼女は、まるで自分には関係ない紙でも見るような顔で、首をかしげていた。
「いや、払うよ。車の税金だから」
私がそう言うと、彼女は不満そうに口を尖らせた。
「でも私、こういうの分からないし。女だし。こういうのって普通、男の人がやるものでしょ?」
その瞬間、私は静かに息を吐いた。
普段はあれだけ車を使っている。
休日にはドライブ。
買い物も車。
友達を迎えに行くのも車。
少し遠いカフェに行くときも、当然のように車。
「車があると便利だよね」
「やっぱり自分の車って最高」
「電車より楽」
そう言っていたのは、誰だったのか。
便利な部分だけはしっかり受け取る。
でも、税金や保険や維持費の話になると、急に「分からない」「女だから」「誰かやって」。
私はその言葉が、一番嫌だった。
分からないことがあるのは仕方ない。
初めてなら誰でも戸惑う。
聞いてくれれば教えるし、必要なら一緒に確認もする。
でも、分からないことを理由に責任を手放すのは違う。
ましてや「女だから」という言葉を、逃げ道に使うのはもっと違う。
私は通知書を受け取りかけた手を止め、そのまま彼女の前に戻した。
「これはあなたの車の税金。あなたが払うものだよ」
彼女は少し驚いた顔をした。
「え、払ってくれないの?」
「払わない」
短く答えた。
空気が一瞬止まった。
今までなら、私が代わりに調べて、代わりに説明して、代わりに支払い方法まで整えていた。
彼女もそれをどこかで当然だと思っていたのだろう。
でも今回は違う。
私は通知書の納期限を指さした。
「ここを見て。期限までに払わないと延滞金がつく場合もある。
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