朝、レンタカーを返却するために駐車場へ向かっていた。
空はよく晴れていて、時間にもまだ少し余裕がある。
スマホで返却手順を確認しながら、私はいつものようにタイムズの駐車場へ入った。
「返却場所はここで合ってるよね」
そう思いながら、黄色い看板のあるスペースに近づいた瞬間だった。
私は足を止めた。
「……え?」
そこには、銀色の軽自動車が堂々と停まっていた。
しかも、その場所はただの駐車スペースではない。
黄色い板に、はっきり書かれている。
「カーシェア専用」
誰がどう見ても、レンタカー返却用の場所だった。
なのに、その車はまるで自分の指定席かのように、そこへ収まっている。
しかも微妙に斜め。
線もきれいに入っているとは言いがたい。
私は一瞬、看板を見た。
次に車を見た。
もう一度、看板を見た。
「いや、見えないわけないよね?」
そうつぶやいてしまった。
この黄色い看板、けっこう目立つ。
小さな注意書きではない。
むしろ「ここは専用です」と全力で主張している。
それを無視して停めるということは、気づかなかったのか、気づいたうえで停めたのか。
どちらにしても、なかなか強い。
私はとりあえずレンタカーを近くに停め、車から降りた。
銀色の軽自動車の周りを確認する。
持ち主の電話番号。
メモ。
一時的に停めているという表示。
何もない。
もちろん、人もいない。
「これ、返却できないじゃん……」
その瞬間、少しだけ焦りが出た。
レンタカーには返却時間がある。
遅れれば延長料金がかかるかもしれない。
次にこの車を予約している人がいたら、その人にも迷惑がかかる。
つまり、この一台が邪魔なだけで、こっちの予定も、次の人の予定も、全部狂う可能性がある。
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