シャワーを浴びるたびに、腕や足から白い皮のようなものがぽろぽろ落ちるようになった。
最初は乾燥かなと思った。
でも数日たっても治らない。
むしろ、お風呂上がりになると皮膚がつっぱって、細かい粉みたいなものが服にもつくようになった。
私は怖くなって、夫に見せた。
「これ、ちょっと変じゃない?病院に行った方がいいかな」
すると夫は、私の腕を見るなり顔をしかめた。
「うわ……なんか汚いな。ちゃんと洗ってる?」
その一言で、胸の奥が一気に冷えた。
心配してほしかったわけじゃない。
ただ、「大丈夫?」の一言くらいは欲しかった。
でも返ってきたのは、まるで私が不潔みたいな言葉だった。
「洗ってるよ。毎日ちゃんと」
そう言っても、夫はスマホを見ながら笑った。
「じゃあ洗い方が悪いんじゃない?最近の人って何でも病気にしたがるよな」
その瞬間、私はもう相談するのをやめた。
泣くより先に、証拠を残そうと思った。
その日から、毎晩お風呂上がりの肌を写真に撮った。
腕、すね、太もも。
赤くなった場所。
白くめくれた部分。
使っているボディソープ、洗濯洗剤、柔軟剤、ボディクリームも全部撮った。
一週間分並べてみると、明らかに悪化していた。
私は皮膚科へ行った。
先生は写真を見て、すぐに聞いた。
「最近、洗剤や柔軟剤を変えましたか?」
その言葉で、私ははっとした。
そういえば、少し前に夫が洗剤を変えていた。
「これ安かったから」と言って、見たこともない大容量の洗剤を買ってきたのだ。
私はその時、「前の低刺激のものに戻したい」と言った。
でも夫は言った。
「洗剤なんて何でも同じだろ。お前は本当に細かいな」
何でも同じ。
その言葉を思い出して、腹の底が熱くなった。
帰宅してすぐ、私は洗面所に置いてあったその洗剤を確認した。
香りが強く、成分表を見ても私にはよく分からない。
でも医師からは、刺激になるものを一つずつ避けるよう言われていた。
私は診察メモと、肌の写真をテーブルに並べた。
夫が帰ってきた。
「またそんな写真撮ってるの?大げさだな」
私は黙って、医師のメモを夫の前に置いた。
「先生に言われた。最近変えた洗剤が原因の可能性があるって」
夫は一瞬だけ目をそらした。
でもすぐに言った。
「いや、洗剤くらいでそんなになる?気にしすぎだろ」
私はその言葉を待っていた。
スマホを開き、一週間分の写真を順番に見せた。
初日。
三日目。
五日目。
七日目。
肌の赤みと落ちる皮の量が、どんどん増えている。
夫の顔から、少しずつ余裕が消えた。
私はさらに、前の洗剤に戻した後の写真も見せた。
たった数日で、肌の赤みが落ち着き始めていた。
「ねえ」
私は静かに言った。
「あなたが安いからって買ってきた洗剤を、私は毎日使ってた」
夫は黙った。
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