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「ただの蚊じゃないですか?」甥っ子の腕いっぱいに赤い発疹が出ているのに、先生は軽く流した。けれど周りの子も同じように体をかいていて…私が家長グループに一言送った瞬間、園が隠していた“違和感”が一気に表に出た
2026/07/02

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甥っ子を迎えに行った瞬間、私は嫌な予感がした。

いつもなら私を見つけると走ってくるのに、その日は腕を抱えるようにして、ずっと服の袖を引っぱっていた。

「どうしたの?」

しゃがんで袖をめくった瞬間、息が止まった。

小さな赤い点が、腕いっぱいに出ていた。

一つや二つじゃない。

手首から肘のあたりまで、ぽつぽつと広がっている。

足にも、似たような跡があった。

私はすぐに先生に聞いた。

「これ、園では気づいていましたか?」

先生はちらっと見ただけで、軽い口調で言った。

「ああ、小さい子は皮膚が弱いですからね。蚊じゃないですか?」

その言い方に、胸の中がざわついた。

蚊?

本当にそうなら、なぜ甥っ子はこんなにかゆがっているのか。

なぜ片腕だけじゃなく、足にも出ているのか。

なぜ先生は、確認もせずに終わらせようとしているのか。

私は周りを見た。

すると、別の子も腕をかいていた。

その隣の子も、首のあたりをずっとこすっていた。

一人じゃない。

私はそこで、すぐスマホを出した。

甥っ子の腕と足を撮影し、時間も残した。

先生の顔色が少し変わった。

「そんなに心配しなくても……」

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私は静かに言った。

「心配なので、記録します」

そのまま甥っ子を連れて病院へ行った。

診察では、接触したものや環境、同じ症状の子がいないかを確認するよう言われた。

私は診察後、家長グループに一文だけ送った。

「今日、子どもの体に赤い発疹やかゆみが出ている方はいませんか?」

送信して数分後、グループが一気に動いた。

「うちもです」

「朝はなかったのに、帰宅後に出ました」

「足をずっとかいています」

「園に聞いたら“虫刺されかも”と言われました」

私は画面を見ながら、手が冷たくなった。

やっぱり、甥っ子だけじゃなかった。

その夜、家長たちから次々と写真が送られてきた。

腕。

足。

首まわり。

症状の出方はそれぞれ違ったけれど、同じ日に複数の子どもに出ていることは明らかだった。

翌朝、園長から私にだけ電話が来た。

「少しお話できますか?」

声はやわらかかった。

でも内容は、やわらかくなかった。

「不安になるお気持ちは分かりますが、グループで広げると混乱しますので……」

私は聞き返した。

「混乱するのは、情報を共有したからですか?それとも、園が説明しなかったからですか?」

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園長は黙った。

それから小さな声で言った。

「こちらでも確認していますので、大ごとにはしないでいただけると」

その瞬間、私は完全に腹をくくった。

子どもたちは、かゆいとも痛いとも、うまく説明できない。

大人が見て見ぬふりをしたら、そのまま終わってしまう。

私は家長たちと連絡を取り、写真、受診記録、園とのやり取りをまとめた。

そして園に正式に要求した。

原因の調査。

保育室と寝具の確認。

玩具やマットの清掃状況の説明。

全家庭への一斉連絡。

必要な消毒と再発防止策。

園長は最初、渋っていた。

「そこまでしなくても……」

私ははっきり言った。

「そこまでしなかった結果、複数の子が同じ症状を出しているんですよね?」

その場にいた先生たちは、誰も反論できなかった。

その後、家長の一人が関連窓口に相談したことで、園には確認が入った。

そこから対応は一気に変わった。

それまで「蚊かもしれません」と流していた園が、急に全家庭へ連絡を出した。

保育室の清掃。

寝具の確認。

遊具の消毒。

子どもたちの体調確認。

そして後日、園長は家長の前で頭を下げた。

「初期対応が不十分でした。ご不安を与えてしまい、申し訳ありません」

最初に「蚊じゃないですか」と言った先生も、気まずそうに立っていた。

私はその先生に言った。

「蚊かどうかを決めてほしかったわけじゃありません」

先生は顔を上げた。

「子どもの異変を、軽く見ないでほしかっただけです」

その後、園の連絡体制は変わった。

小さな体調変化でも、家庭へ必ず共有されるようになった。

清掃記録も掲示されるようになった。

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甥っ子の症状も、受診とケアで少しずつ落ち着いていった。

帰り道、甥っ子が私の手をぎゅっと握った。

私はその小さな手を見て、胸が熱くなった。

子どもは、自分で園に抗議できない。

「ちゃんと見て」と言えない。

だから大人が言うしかない。

私はもう一度、甥っ子の手を握り返した。

「大丈夫。あなたが言えない時は、私が言うからね」

子どもの体に出た小さな赤い点。

それを「よくあること」で終わらせるか。

それとも、守るための合図として受け止めるか。

大人の差は、そこで出ると思う。

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