親友の結婚式が終わった翌日、カメラマンさんから写真データが届いた。
どれも本当にきれいだった。
白いドレス姿の親友は幸せそうで、会場の花も、笑っている家族の顔も、見ているだけで胸が温かくなった。
その中に、伴郎と伴娘で撮った集合写真があった。
伴娘たちは前列に座り、伴郎たちは後ろに立っている構図。
少し低い位置から広角で撮られていたから、前に座っている私たちの脚は長く大きく見え、後ろに立っている男性陣の脚はやけに小さく見えた。
私は最初、それも含めて面白い写真だと思った。
「なんか海外の広告みたいでかっこいいね」
そう親友に送ろうとした時、コメント欄に一つの書き込みがついた。
新郎の友人らしい男性だった。
「伴娘団、战斗力高そうw 男より脚が強そうで草」
一瞬、指が止まった。
その下に、さらに別の人が乗っかっていた。
「確かに男たちの脚ちっちゃすぎる」
「前列の圧がすごい」
「これは笑う」
私は画面を見ながら、腹の奥が熱くなっていくのを感じた。
結婚式の写真だ。
親友が何か月も準備して、人生で一番幸せそうに笑っている日の写真だ。
それを、どうして誰かの体を笑う場所にされなきゃいけないのか。
しばらくして、親友からメッセージが来た。
「この写真、消そうかな」
その一文を見た瞬間、私は完全にスイッチが入った。
「消さなくていい」
私はすぐ返した。
「消すべきなのは写真じゃなくて、失礼なコメントのほう」
親友は「でも、ちょっと恥ずかしくなってきた」と言った。
私は電話をかけた。
声を聞くと、親友は明らかに落ち込んでいた。
「せっかく楽しかったのに、あの写真だけ変に見えてきちゃって」
私は言った。
「変なのは写真じゃないよ。あの人たちの見方」
電話を切ったあと、私はすぐカメラマンさんに連絡した。
「この集合写真、広角と撮影位置の影響で前列が大きく見えていると思うんですが、説明できますか?」
カメラマンさんはすぐに返事をくれた。
「はい、低めの位置から広角で撮っているので、レンズに近い前列の脚は大きく写ります。後列は距離があるので小さく見えます。これは体型ではなく遠近感の影響です」
さらに、撮影時の立ち位置が分かる簡単な図まで送ってくれた。
私はそれを見て、すぐに一枚の説明画像を作った。
一枚目、問題の写真。
二枚目、前列と後列の距離。
三枚目、カメラ位置と広角レンズの説明。
最後に、短くこう書いた。
「前にあるものは大きく、後ろにあるものは小さく写る。これは体型の問題ではなく、レンズと距離の問題です」
そしてコメント欄に投稿した。
その上で、私は一言だけ添えた。
「伴娘の脚が大きいんじゃありません。人の体を笑っていいと思っている人の尊重が小さいだけです」
数分間、コメント欄は静かになった。
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