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「文句あるなら警察でも呼べば?」私有地に斜めに入り込む迷惑駐車を2年も続けた男。毎日写真を撮り、日時・角度・被害を全部記録。最後に地主さんが動いた瞬間、いつものように停めに来た男の顔色が変わった
2026/07/01

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家の前に、またあの黒い車が停まっていた。

もう何度目か分からない。

黄色い線の向こうは公道。

こちら側は私有地。

それなのに、その車は毎回、わざとみたいに車体を斜めに入れてくる。

完全に公道でもない。

完全に私有地でもない。

一番いやらしい場所に、絶妙な角度で停めてくるのだ。

最初は、たまたまだと思っていた。

道が狭いから仕方ないのかもしれない。

少しの時間だけなのかもしれない。

そうやって自分に言い聞かせていた。

でも、半年、一年、そして二年。

その車は当たり前のように、うちの前を“自分専用の無料駐車場”にしていった。

困るのは、私だけではなかった。

ゴミ収集車が入りにくくなる。

近所のお年寄りが手押し車で通るとき、車を避けて大きく回り込まなければならない。

雨の日には視界が悪くなり、曲がってくる車と歩行者がぶつかりそうになったこともあった。

それでも車の持ち主は、まるで悪びれなかった。

ある日、私が勇気を出して声をかけた。

「すみません、ここ私有地にもかかっているので、停め方を変えてもらえませんか」

すると男は、ちらりと私を見て笑った。

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「全部入ってるわけじゃないでしょ」

その言い方で分かった。

この人は、分かっていてやっている。

さらに男は、車のドアを閉めながら言った。

「文句あるなら警察でも呼べば?」

その言葉通り、私たちは警察にも相談した。

地主さんにも相談した。

周りの住人にも話した。

でも、車が完全に私有地へ入り込んでいるわけではないせいで、対応はいつも中途半端だった。

注意されると、その日は少しだけ動かす。

でも次の日には、また同じ場所に戻ってくる。

まるで「ほら、何もできないだろ」と言われているようだった。

正直、何度も怒鳴りたくなった。

でも怒鳴ったところで、相手は喜ぶだけだと思った。

だから私は、やり方を変えた。

その日から毎日、写真を撮ることにした。

停まっている時間。

角度。

車体がどこまで私有地側に入っているか。

通行の邪魔になっている様子。

雨の日、夕方、ゴミ収集日、子どもが通る時間。

すべて記録した。

ただの写真では弱いと思い、私は画像に線を引いた。

黄色い線を境に、青い部分が公道。

赤い部分が私有地。

誰が見ても分かるようにした。

最初はスマホの中だけだった記録が、気づけば何十枚にもなっていた。

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近所の人たちも協力してくれた。

「この日、宅配の車が入れなくて困っていました」

「母が歩行器で通れず、遠回りしました」

「子どもが車の陰から出てきて、ヒヤッとしました」

私はそれらの証言も、日付ごとにまとめた。

そして二か月後。

私は一冊の資料を作った。

表紙には大きくこう書いた。

「迷惑駐車記録報告書」

中身はシンプルだった。

写真。

日時。

場所。

影響。

そして、何度相談しても改善されなかった経緯。

感情的な言葉は入れなかった。

「腹が立つ」とも、「許せない」とも書かなかった。

ただ事実だけを並べた。

それが一番強いと思ったからだ。

その資料を、地主さん、自治会、関係部署に提出した。

さすがに、全員の顔つきが変わった。

一枚の写真なら「たまたま」で終わる。

でも、二年分の迷惑が時系列で並ぶと、もう言い逃れはできない。

地主さんは静かに言った。

「ここまで続いているなら、こちらも動きます」

数日後、私有地の境界に新しい表示が立った。

さらに、土地の内側に防護ポールが設置された。

もちろん、公道には一切はみ出していない。

誰にも文句を言われない、完全にこちら側の対策だった。

そして、その日の夕方。

例の黒い車が、いつものようにやって来た。

私は二階の窓から見ていた。

男は当然のようにハンドルを切り、いつもの角度で入れようとした。

しかし、車の頭が入る前に、防護ポールが立ちはだかった。

男は一度止まった。

少しバックした。

もう一度入れようとした。

でも、無理だった。

今まで好き勝手に使っていた“逃げ道”は、もう消えていた。

男は車から降りて、ポールを見つめた。

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そしてこちらに気づくと、何か言いたそうに顔をしかめた。

私は窓を開けて、静かに言った。

「今回は、線が見えにくいとは言えませんよね」

男は何も言い返せなかった。

しばらく立っていたが、最後は乱暴にドアを閉め、車を出していった。

その日から、あの黒い車は来なくなった。

たった一本のポールで解決したように見えるかもしれない。

でも本当は違う。

二年間、我慢して、記録して、証拠を積み重ねたから動かせたのだ。

優しく言っても伝わらない人はいる。

常識に任せても、変わらない人はいる。

そういう相手には、怒鳴るより、証拠を見せた方が早い。

家の前の道がすっきりした朝、私は久しぶりに深く息を吸った。

そして心の中で思った。

人の土地を都合よく使っておいて、最後まで逃げられると思ったら大間違いだ。

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