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「人の失敗をネタにするのが仕事ですか?」上司の卓上カレンダーに、部下のミスや私の名前が赤字でびっしり…笑って済ませる上司に、私は黙って1か月分の“本当の記録”を集めた結果、月末会議で空気が一変した
2026/07/01

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7月1日の朝、私はいつも通り自分の席に座った。

コーヒーを置き、パソコンを開こうとした瞬間、隣の席の上司の卓上カレンダーが目に入った。

そこには、普通なら「会議」「資料提出」「打ち合わせ」と書かれているはずだった。

なのに、最初に飛び込んできた文字は「キーボン出社 解禁」。

私は思わず二度見した。

さらに視線を下げると、「昼寝(6時間)」「扇風機にア〜〜と言う」「ファミレスの順番」「お弁当おすすめ」まで書いてある。

仕事の予定表というより、もはや上司の脳内をそのまま印刷したようなカレンダーだった。

最初は笑いをこらえた。

だが問題は、そこに私たち部下のことまで書かれていたことだった。

「朝食ミーティング ロッテリア」

「資料チェック」

「誰かのミスを拾う日」

「人救うのいずが おもしろいゲーム」

その一文を見た瞬間、私は笑えなくなった。

いずとは、私のことだった。

私の名前が、なぜか“おもしろいゲーム”扱いされていた。

上司は悪気なく人をいじるタイプだった。

新人が少し噛めば「今の録音したかったな」と笑い、誰かが資料を忘れれば「来週の名場面だな」と言う。

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本人は冗談のつもりでも、言われた側は毎回、薄く傷ついていた。

それでも誰も強く言い返さなかった。

言い返せば、「最近の若い人は冗談が通じない」で終わるからだ。

その日も昼休み、上司はカレンダーを指で叩きながら言った。

「これはチームのリスク管理だからな」

私は聞き返した。

「人の失敗を書くのが、ですか?」

上司は真顔でうなずいた。

「そうだよ。忘れないためだ」

その瞬間、私は決めた。

忘れないためなら、私も記録してやろう。

次の日から、私は小さなノートを作った。

名前は「上司観察カレンダー」。

月曜日、上司は「今月こそ痩せる」と宣言し、昼に唐揚げ弁当を二つ食べた。

火曜日、会議で自分が出した議題を忘れ、「誰がこの話を始めたんだ?」と全員に聞いた。

水曜日、資料チェックと言いながら、三十分ずっとスポーツクラブ退会の方法を調べていた。

木曜日、扇風機の前で本当に「ア〜〜」と言っていた。

金曜日、午睡六時間の夢を語りながら、三時に眠気で議事録を閉じた。

私は全部、淡々と書いた。

誇張はしなかった。

悪口も書かなかった。

ただ、事実だけを並べた。

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すると、不思議なことに同僚たちも少しずつ協力してくれるようになった。

「今日の上司、会議中に自分の眼鏡を探してました。頭の上にありました」

「朝礼で“時間厳守”って言った本人が五分遅刻しました」

「資料の締切を私に確認してきたけど、その資料、上司の引き出しにありました」

気づけば、私のノートは一冊の立派な“上司ドキュメント”になっていた。

そして月末の部署ミーティング。

上司はいつものようにカレンダーを掲げた。

「今月はみんな、なかなかネタが多かったな」

その瞬間、私は手を上げた。

「では、私からも今月のリスク管理報告をしていいですか?」

上司は何も知らずに笑った。

「お、いいじゃないか」

私はプロジェクターに資料を映した。

タイトルはこうだった。

「7月 上司行動記録」

会議室が一瞬、静まり返った。

次のページに、事実だけを並べた。

「減量宣言翌日の唐揚げ弁当二個」

「会議主催者なのに議題を忘れる」

「資料チェック時間に退会手続きを検索」

「部下の失敗を笑いにする一方、自分のミスは“人間味”で処理」

最初に吹き出したのは、隣の先輩だった。

次に後輩が肩を震わせた。

最後には、部長まで口元を押さえていた。

上司の顔はみるみる赤くなった。

「いや、これはだな……」

すると部長が静かに言った。

「なるほど。確かにこれはリスク管理だね」

上司は固まった。

部長は続けた。

「人を笑い者にする記録より、こちらの方がずっと職場改善に役立つ」

その場の空気が一気に変わった。

上司は言い返せなかった。

なぜなら、私の資料には一つも嘘がなかったからだ。

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その後、上司の“創作型カレンダー”は撤去された。

代わりに部署共有の正式なスケジュール表が作られ、個人をいじるような書き込みは禁止になった。

さらに、なぜか私がその管理担当になった。

正直、少し面倒だ。

でも、あのカレンダーに自分の名前を書かれて笑われるよりは、ずっといい。

7月の終わり、上司は小さな声で私に言った。

「ちょっとやりすぎたかもしれないな」

私は笑って答えた。

「大丈夫です。忘れないように、ちゃんと記録しておきますから」

上司はその日から、誰かの失敗を“ネタ”とは呼ばなくなった。

そして私は学んだ。

職場で本当に強い反撃は、怒鳴ることじゃない。

相手が笑いに変えたものを、事実として机の上に戻すことだ。

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