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「手取り15万くらいで、残業も“チーム精神”ですか?」月給18.2万の求人に面接へ行った私。面接官は笑顔で“やる気”を語ったけれど、求人票に書かれていない一点を確認した瞬間、部屋の空気が凍った…
2026/06/30

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求人票を見た瞬間、私は思わずため息をついた。

月額18万2000円〜21万円。

数字だけ見れば、ゼロよりはいい。

でも頭の中で社会保険、税金、家賃、光熱費、食費を引いていくと、残る金額はほとんどなかった。

たぶん手取りは15万円前後。

失業して三ヶ月。

貯金はどんどん減っていた。

友人には何度も言われた。

「今は選んでる場合じゃないでしょ」

「仕事があるだけありがたいよ」

たしかに、焦っていた。

夜になると求人サイトを開いて、同じ画面を何度も更新していた。

でも、どうしても引っかかる求人があった。

給料は安い。

手当はほぼ空欄。

固定残業代の記載もない。

それなのに、備考欄にはこう書かれていた。

「チームワークを大切にできる方」

「繁忙期は協力していただく場合があります」

嫌な予感はした。

でも生活がある。

私は面接に行った。

面接官は最初からにこやかだった。

「うちは若い人が多くて、みんな前向きに頑張っています」

私はうなずいた。

「未経験でも大丈夫です。やる気があれば伸びますから」

そこまではよかった。

でも次の言葉で、空気が変わった。

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「まあ、忙しい時期は少し残ってもらうこともあります」

私は求人票を見た。

固定残業代の欄はない。

残業代についての説明もない。

面接官は続けた。

「でも、みんなで助け合う感じなので、あまり細かく考えすぎない人のほうが合いますね」

その瞬間、私の中で何かが止まった。

細かい?

家賃を払うのも細かいこと?

食費を削るのも細かいこと?

病院に行くのを迷うのも細かいこと?

私は求人票をテーブルの上に置いた。

そして、できるだけ落ち着いた声で聞いた。

「固定残業代の記載がありませんが、残業代は全額別で支給されますか?」

面接官の笑顔が一瞬止まった。

「ええと……まあ、状況によりますね」

状況?

私はさらに聞いた。

「では、月額18万2000円の場合、手取りは15万円前後になると思いますが、その金額で長期的な残業も求めるという理解で合っていますか?」

部屋が静かになった。

面接官はペンを回しながら、少し困った顔をした。

「いや、そこまでお金のことを最初から気にされると……」

私はすぐに返した。

「生活に関わることなので、最初に確認するのは当然だと思います」

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相手は黙った。

さっきまでの“会社が選ぶ側”という空気が、少しずつ崩れていくのが分かった。

面接官は苦笑いした。

「若いうちは、経験を優先したほうがいいですよ」

私は笑わなかった。

「経験は大事です。でも、生活できない条件を美談にするのは違うと思います」

その瞬間、完全に空気が凍った。

でも不思議と怖くなかった。

むしろ、胸の中がすっと軽くなった。

私はずっと、自分には選ぶ資格がないと思っていた。

失業中だから。

貯金が少ないから。

周りに急かされているから。

でも違った。

焦っている人間ほど、条件を確認しないといけない。

弱っている時ほど、曖昧な言葉に流されてはいけない。

面接の最後、相手は言った。

「では、結果は後日ご連絡します」

私はその場で頭を下げた。

「ありがとうございます。ただ、条件面が不明確なので、今回は辞退させていただきます」

面接官は驚いた顔をした。

まさか、私のほうから断るとは思っていなかったのだと思う。

会社を出た瞬間、足が震えた。

強がったけど、怖かった。

でも後悔はなかった。

帰宅して、私はその日の面接内容を全部メモした。

曖昧な求人。

残業代をぼかす言い方。

「やる気」「成長」「チーム精神」で低賃金を包む会社。

もう同じところには引っかからない。

そこから私は、応募する求人の見方を変えた。

給与の内訳が書いてあるか。

残業代が明記されているか。

手当が具体的か。

面接で質問した時に、きちんと答える会社か。

一週間後、別の会社から内定をもらった。

月給は前の求人より5万円高い。

残業代は1分単位で支給。

交通費も別。

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面接では、こちらから聞く前に条件を説明してくれた。

その会社の担当者はこう言った。

「生活に関わることなので、不安な点は遠慮なく聞いてください」

その言葉を聞いた時、私は心の中でガッツポーズした。

後日、あの時「選んでる場合じゃない」と言っていた友人に内定を報告した。

すると友人は少し黙ってから言った。

「ごめん、私も求人票の見方を教えてほしい」

私は笑って、面接で聞く質問リストを送った。

あの日、私は仕事を一つ失ったんじゃない。

自分を安売りする未来を、一つ断っただけだった。

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