電車のドア前を大型の荷物で完全に塞いでる人がいて、さすがに意味わからなかった。
通勤時間帯。
人の出入りが一番多いタイミング。
なのに。
ドアのど真ん中に、デカい段ボールみたいな荷物がドン。
は?
いやいやおかしいだろ。
これ、どうやって乗り降りすんの?
左右からちょっとだけすり抜けてる人いるけど、明らかに無理してる。
しかも次の駅、けっこう人降りるはずのとこ。
周りもざわついてた。
「え、通れないんだけど」
「ちょっと危なくない?」
でも。
当の本人、まったく動く気配なし。
スマホいじってる。
いやマジで意味わからん。
自分の荷物優先で、全員止めてる状態。
正直、イラッとした。
でも一瞬だけ迷った。
言う?
言わない?
相手、ガタイそこそこ。
こっちは一人。
正直ちょっと怖かった。
でも。
このまま黙る方が無理だった。
だってこれ、私だけじゃない。
全員の問題でしょ。
私は一歩前に出た。
で、はっきり言った。
「これ、乗降妨害になってますよね?」
相手、顔上げた。
ちょっとイラついた顔。
「……は?」
いやその反応何。
「ドア塞がれてると、乗り降りできないんで」
できるだけ冷静に言った。
でも、引かない。
すると相手。
「ちょっとぐらい通れるだろ」
は?
いやいやいや。
「通れてない人、いますよね」
私はそのまま後ろを軽く指した。
実際、降りようとして詰まってる人いた。
その瞬間、空気ちょっと変わった。
後ろから声。
「ほんとだよ、邪魔だよ」
「危ないって」
一人じゃなくなった。
さっきまで「私 vs そいつ」だったのが、
一気に「車内全体 vs そいつ」になった。
相手、少しだけ黙る。
でもまだ動かない。
だから、もう一歩いった。
「このままだと、発車にも影響出ますよね」
一拍置いて。
「安全的にも問題あると思いますけど」
この言い方、かなり効く。
“迷惑”じゃなくて、“安全”に引き上げた。
相手、完全に詰まった顔。
ちょうどそのタイミングで。
車掌のアナウンス。
「ドア付近のお客様は、スムーズな乗降にご協力ください」
きた。
完全に“個人の問題”じゃなくなった。
システム側が動いた。
周りも一気に視線向ける。
「ほら、言われてるよ」
「移動した方がいいって」
逃げ場、完全になくなった。
相手、舌打ちして。
ガッと荷物引っ張った。
ドア前、やっと開いた。
その瞬間。
詰まってた人たちが一気に流れる。
空気、明らかに変わった。
さっきまでのストレス、一気に抜ける感じ。
誰かが小さく「助かった…」って言ってた。
私は何も言わない。
でも、内心ちょっと思った。
——最初からやれよ。
その後。
相手、ずっと下向いてた。
スマホも見てない。
さっきの余裕、完全に消えてた。
こういう人って。
誰も何も言わない前提で動いてる。
でも。
一回“全体の問題”になると、一気に弱い。
あの日、正直ちょっと怖かった。
でも。
言ってよかった。
あのまま誰も言わなかったら、
たぶんずっとあのままだった。
電車ってさ。
みんなで使う場所でしょ。
だからこそ。
一人の都合で止めるの、ほんと無理。
その日の帰り。
ドア前、ちゃんと空いてた。
それだけで、ちょっと気持ちよかった。
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