新幹線に乗り込んだ瞬間、私は今日の移動は勝ちだと思った。
グリーン車だった。
座席は広い。
照明は柔らかい。
人も少ない。
空気まで少し高級そうな顔をしていた。
やっと落ち着ける。
そう思った。
荷物を棚に上げて、深く息をつく。
スマホを見て、少し寝て、静かに目的地まで運ばれる。
そのはずだった。
ところが、座る前から、前方で嫌な声がした。
でかい。
無駄にでかい。
しかも電話だ。
私は反射的に顔を上げた。
え、今?
この車内で?
しかもその声量で?
数列先に、外国人の男がいた。
一人じゃない。二人組だった。
片方がスマホを耳に当てて、大声で話している。
もう片方は止める気配ゼロ。
むしろ当然みたいな顔で座っていた。
それだけでも十分うるさいのに、さらに目に入ったものがあった。
男はシートを限界まで倒していた。
遠慮という概念がない。
角度に一切の迷いがない。
ここまで倒せるなら倒す。
そんな雑な哲学が背中からにじみ出ていた。
いや、それだけならまだ序章だった。
次の瞬間、私は本当に目を疑った。
そいつ、靴を履いたまま、前の席に足を乗せていた。
軽くじゃない。
ちょこん、でもない。
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