「駐車場に戻ったら、私の車の前に青い自転車が挟まって動かない。」
思わず声を上げた。
タイヤがバンパーに深く食い込み、前にも後ろにも、微動だにしない。
運転席も、周りにも誰もいない。
車体を軽く押してみるが、びくともしない。
時計を見る。約束まであと15分。
焦りと苛立ちで手が震える。
ここで動かせなければ、予定はすべて狂う。
まず、冷静に状況を確認。
タイヤの位置、フレームの接触部分、前後の隙間を頭の中で整理する。
写真を撮り、バンパーとの接触部分を記録。
あとで説明するための証拠として残す。
次に作戦を練る。
タイヤを少し持ち上げ、フレームを左右に揺らす。
少しずつ、車を前に押せるスペースができてきた。
手汗でスマホが滑りそうになりながらも、焦らずハンドルを回す。
「動け…動いてくれ…」
心の中で何度もつぶやく。
車体を前に押すと、青い自転車が少し滑り、バンパーから離れた。
呼吸が一瞬止まる。
しかしまだ完全に動かせる状態ではない。
少しずつタイヤの角度を調整し、車体を微調整する。
隙間ができるたびに、車を少しずつ前に出す。
その間、スマホで連絡先を探す。
自転車の持ち主はどこにも見当たらない。
周囲の人に助けを求めても、誰も近寄らない。
この無人状態が、さらに苛立ちを煽る。
残り10分。
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