正直、この時点で完全に無理だった。
その場で言われたあの一言。
「奥さん変だね」
しかも、私の目の前で。
さらに続けて、
「○○くん可哀想」
……は?
一瞬、何を言われてるのか分からなかった。
でも次の瞬間、頭の中で何かが切り替わった。
私はそのまま、その人の目を見て言った。
「あなたの方が変ですよ」
空気が一瞬で止まった。
でも止めなかった。
「既婚なのに元彼に連絡して、お土産渡したいって普通思いませんし」
「その奥さんのことを評価するのもおかしいですよ」
相手の表情が一瞬だけ固まった。
でも、すぐに笑った。
「あ、そういうタイプなんだ」
その言い方が、また無理だった。
見下してる感じ。
全部が“自分は正しい”前提の態度。
私はそのまま言った。
「境界感、分かってます?」
「分からないなら、教えますけど」
そこまで言って、ようやく相手は黙った。
その場は、それで終わった。
……と思ってた。
普通は終わるでしょ。
あそこまで言われたら。
でも——
終わらなかった。
そのあとも、普通に夫に連絡してきていた。
「さっきはごめんね〜」
「でもちょっと言い過ぎじゃない?」
「○○くん、気にしてない?」
いやいやいや。
誰に謝ってるの?
何を分かってるつもりなの?
しかも夫も、
「悪気ないと思うよ」
とか言い出す。
その瞬間、またスイッチ入った。
「悪気あるかどうかの問題じゃないでしょ」
「境界線の問題」
でも、それでも夫ははっきり切らなかった。
その優しさなのか曖昧さなのか分からない態度が、一番イラッとした。
そして、元カノはそれを完全に利用していた。
「ちょっとくらいいいじゃん」
「友達みたいなもんでしょ?」
完全に踏み込んできてる。
もう分かった。
――このタイプは、言っても止まらない。
だったら。
ちゃんと止めるしかない。
私は夫のスマホを取った。
やり取りを全部見た。
距離感、完全にアウト。
その瞬間、迷いはなくなった。
「これ、私が止めるね」
夫は「え?」って顔をした。
でも、そのまま続けた。
「あなたじゃ無理だから」
その一言で、夫は黙った。
私は、そのままある人に相談した。
マンションの下でよく会う、世話焼きな大叔母さんみたいな人。
事情を話すと、一言だけ言った。
「それ、ちゃんと止めないとダメなやつ」
そして——
行動が早かった。
次の日。
その人は、近所の大叔さんと一緒に、
元カノの会社に行った。
私はその場にはいない。
でも、後から全部聞いた。
逃げられない状況で、真正面から言われたらしい。
「既婚なのに元彼に連絡して何してるの?」
「相手の家庭に踏み込んでる自覚ある?」
「奥さんのこと“変”って言う立場なの?」
一つ一つ、言い訳できない形で。
淡々と。
でも確実に。
完全に詰められたらしい。
その日の夜。
夫のスマホに通知が来た。
「もう連絡しません」
それだけ。
あれだけ絡んできてたのに。
一行で終わり。
そのあと、本当に一切連絡は来ていない。
正直、最初からそうしてほしかった。
でも——
今回で分かった。
こういう人って、
“ちゃんと止められるまで止まらない”
ちょっと踏み込んで、
大丈夫ならもう一歩、
止められなければさらに一歩。
そうやって距離を詰めてくる。
だから——
ちゃんと止めた。
それだけの話。
でも一番思ったのは、
境界線って、
守れる人は最初から守るし、
守れない人は、
止めないと一生越えてくる。
だから今回は、
ちゃんと線を引いた。
もう二度と越えさせないために。
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