深夜一時。
スマホが何度も震えていた。
画面を見ると、大学時代からの友人・美咲。
嫌な予感がした。
電話に出た瞬間、向こうから泣き声が聞こえた。
「お願い……助けて……」
私は慌てて聞いた。
「どうしたの?」
すると美咲は嗚咽混じりに言った。
「子供にご飯食べさせるお金もないの……」
その声があまりにも必死で、私は言葉を失った。
美咲はシングルマザーだった。
仕事も不安定で、生活が苦しいとは聞いていた。
私は正直迷った。
うちだって余裕があるわけじゃない。
十万円なんて簡単に出せる額じゃない。
でも、“子供がいる”と言われた瞬間、断れなかった。
私は何度も確認した。
「ちゃんと返してね?」
「貸したあと関係悪くなるの嫌だから」
すると美咲は泣きながら言った。
「絶対返す!」
「来月には返せるから!」
私は念のため借用書を書いてもらった。
返済期限は一ヶ月後。
署名も押印もした。
そこまでしたのは、友情を壊したくなかったからだ。
でも。
二週間後。
私はSNSを見て固まった。
“家族旅行なう✨”
温泉旅館。
海鮮丼。
観光地。
子供と笑顔で写る美咲。
私はスマホを握ったまま、しばらく動けなかった。
え?
ご飯食べるお金もないって言ってたよね?
その後も続いた。
「焼肉最高💕」
「今日はママ友とランチ✨」
「自分へのご褒美🥰」
投稿が増えるたび、私の中で何かが削れていった。
そして返済日。
当然みたいに連絡はなかった。
私は悩んだ末、LINEした。
『そろそろ返済どうする?』
すると返ってきたのは謝罪じゃなかった。
『今それ言う?』
『子供いるのに冷たくない?』
私は意味が分からなかった。
貸した側なのに。
なんで私が責められてるの?
さらに数日後。
『お金お金って怖いよね』
『余裕ある人は違うよね』
まるで私が悪者みたいな言い方をしてきた。
でも私は耐えた。
感情的にならず、全部保存した。
借用書。
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