「ミラー割れただけで、“払わないと訴える”と脅されて12万円払った。」
そのときの自分は、完全に圧されていた。
きっかけは、本当に些細なことだった。
駐車場で軽く接触して、サイドミラーが割れただけ。
相手はすぐに電話をかけ始めた。
業者らしき人物が来て、ミラーを見た瞬間に言った。
「これ、全部交換ですね」
そしてそのまま、見積もりもろくに出さずに言った。
「12万円になります」
思わず聞き返した。
「え?」
ミラーだけで12万円。
どう考えてもおかしい。
でも、相手は間髪入れずに畳みかけてきた。
「今すぐ対応しないと困るんですよ」
「払わないなら、こちらも法的に動きますよ」
その場でも圧をかけられ、
さらにその後も電話が何度もかかってきた。
「どうしますか?」
「支払わないなら訴えますけど」
完全に逃げ場を塞がれていた。
今思えば、あの時点でおかしかった。
でも、そのときの自分は冷静じゃなかった。
トラブルを早く終わらせたい。
これ以上面倒なことになりたくない。
その一心で、私は12万円を払ってしまった。
振り込んだあと、妙な違和感だけが残った。
数日後、その話を周りにした。
すると、全員が同じことを言った。
「それ、おかしい」
「ミラーで12万なんてありえない」
「完全にやられてるよ」
一人じゃなかった。
二人、三人、同じ反応だった。
そこで初めて、背筋が冷えた。
私は調べ始めた。
するとすぐに出てきた。
同じような手口。
「軽い破損なのに高額請求」
「払わないと訴えると脅す」
「その場で契約させる」
そして、同じように払ってしまった人たちの書き込み。
自分と、全く同じだった。
そこで完全に理解した。
これは、事故じゃない。
詐欺だ。
そこからは早かった。
私は振り込み記録、通話履歴、やり取りのメモを全部整理した。
さらに、同じ被害に遭った人の情報も集めた。
そして、消費者センターに相談した。
担当者は、資料を見てすぐに言った。
「これはかなり悪質ですね」
さらに弁護士にも相談した。
返ってきた答えは、はっきりしていた。
「この請求、法的に問題があります」
その言葉を聞いた瞬間、スイッチが入った。
私は業者に連絡した。
今度は、向こうではなく、こちらから。
「今回の件ですが、弁護士に相談しました」
電話の向こうが、一瞬静かになった。
私は続けた。
「この請求、違法の可能性があると言われています」
「証拠も全部残っています」
「消費者センターにも相談済みです」
さっきまで強気だった業者の態度が、明らかに変わった。
「……確認します」
数時間後、折り返しの電話が来た。
声のトーンは、別人のように低くなっていた。
「今回の件ですが……返金対応させていただきます」
あっさりだった。
あれだけ「訴える」と言っていたのに。
さらに数日後、12万円は全額戻ってきた。
そして、謝罪の連絡まで来た。
あのときの強気は、完全に消えていた。
その後、その業者は営業を停止したらしい。
同じような被害報告がいくつも上がっていた。
私は思った。
あのとき、怖くて払ってしまったのは事実だ。
でも、そのまま終わらなくてよかった。
違和感は、だいたい当たる。
そしてもう一つ。
「訴える」と言われたときほど、冷静になったほうがいい。
本当に訴える側は、そんな言い方はしない。
あの12万円は、高い勉強代だった。
でも、取り返した。
だから今は、はっきり言える。
同じ状況になったら、絶対にその場で払うな。
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