堪忍袋の緒が切れた。
もう限界だった。
夫は、ずっと無職だった。
働いているのは私だけ。
それでも最初は、
「そのうち何とかなる」と思っていた。
でも現実は違った。
夫は働かない。
そのくせ、口だけは出す。
「お前が働くのは当たり前だろ」
「俺がいるから生活できてんだろ」
何もしていない人間に、
そんなことを言われ続ける毎日。
気に入らないことがあれば怒鳴る。
酒を飲めば、さらにひどくなる。
壁を叩く音。
物を投げる音。
そして、その矛先は必ず私に向く。
「どうせお前一人じゃ無理」
その言葉を何度も聞かされて、
気づけば、言い返すことをやめていた。
その方が楽だったから。
でも——
それが間違いだった。
ある日、財布の中のお金が減っていることに気づいた。
最初は気のせいだと思った。
でも違った。
何度も同じことが起きる。
それでも、はっきりとは言えなかった。
どこかでまだ、
「違うかもしれない」と思っていた。
でも、その日で全部終わった。
夫が酔って帰ってきた夜。
ポケットから、レシートを落とした。
何気なく拾って、
そのまま固まった。
キャバクラ。
そして、その金額。
「148,000円」
一瞬、頭が真っ白になった。
その金額、
私の財布から消えたお金と同じだった。
私は静かに聞いた。
「これ、どこから出したの?」
夫は笑った。
何の悪びれもなく。
「は?お前のだろ」
そのまま、平然と続けた。
「夫婦なんだから一緒じゃん」
その瞬間——
全部が繋がった。
ああ、この人は、
何も分かってない。
分かる気もない。
私はその場では何も言わなかった。
でも、その日から全部変えた。
財布の中身を記録した。
通帳の動きも確認した。
レシートも残した。
会話も、全部覚えた。
もう一度同じことがあったら、
終わらせると決めたから。
そして——
すぐに来た。
また、お金が消えた。
迷いはなかった。
私は夫に向かって言った。
「これ、盗ってるよね?」
夫は最初、否定した。
でも、証拠を見せると黙った。
それでも最後に言った。
「大げさなんだよ」
その一言で、
完全に終わった。
私は静かに言った。
「これ、盗難だから」
「夫婦でも関係ない」
空気が変わる。
夫の顔が止まる。
私は続けた。
「記録、全部残してる」
「必要なら警察にも行く」
さらに言った。
「今までの言葉も全部」
「これ、モラハラだから」
その時、
夫は何も言えなかった。
さっきまでの態度が、
嘘みたいに消えた。
私はそのまま言った。
「4月で終わらせます」
感情はなかった。
怒りも、涙もなかった。
ただ、
決めただけだった。
5年間、我慢してきた。
でも——
我慢しても、
何も変わらなかった。
むしろ、
どんどん悪くなった。
だから終わらせる。
これは逃げじゃない。
自分を守るための選択だ。
そして思った。
こういう人は、
我慢しても変わらない。
変わるのは、
離れた時だけだ。
引用元:,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]