その時は、本当に一瞬、何が起きたのか理解できませんでした。
ガソリンを入れて、5,100円を払っただけです。
ただそれだけの、普通の会計でした。
レシートには、合計5,002円。
だから本来なら、お釣りは98円のはずでした。
でも店員は、小さな飴を1つ出してきて、こう言ったんです。
「細かいのないので、これでいいですよね?」
一瞬、意味が分からなかった。
え、今なんて言った?
98円の代わりに、飴?
しかも“いいですよね?”って、もう決まってる前提の言い方。
確認じゃなくて、押しつけに近い。
私はその場で少し固まりました。
後ろには人も並んでいるし、変に揉めるのも面倒だな、という気持ちもあった。
でも、どうしても引っかかったんです。
「いや、普通にお釣りください」
できるだけ冷静に、そう言いました。
すると、店員の表情が変わったんです。
ほんの一瞬でしたけど、明らかに“面倒くさい客”を見る顔になった。
そして次の瞬間――
カウンターの上に、1円玉がジャラッと音を立てて落とされました。
「じゃあ、自分で数えてください」
その言い方も、態度も、あまりにも雑でした。
投げるように置かれた1円玉。
山みたいにバラバラになっていて、確かに98枚あるのかも分からない。
私はその場で、完全に言葉を失いました。
え、なんでこっちがこんな扱いされてるの?
ただ普通にお釣りをもらおうとしただけなのに。
その場で全部言い返せればよかったのかもしれません。
でも、正直、頭が追いつかなかった。
後ろの視線も気になる。
店員の態度も明らかに“早く終わらせたい”空気。
私はとりあえず、その1円玉をまとめて受け取りました。
でも、車に戻ってから、だんだん怒りが湧いてきたんです。
これ、普通じゃないよな?
98円が問題じゃない。
最初から、勝手に飴で済ませようとしたこと。
断ったら、露骨に態度を変えたこと。
そして、あの1円玉の出し方。
全部が引っかかっていました。
私はスマホで調べました。
そもそも、お釣りを現金で渡すのは基本。
店側が勝手に代替手段を決めるものじゃない。
そして何より、
客に対してあの態度はどうなんだ。
そこでようやく、頭が冷えてきました。
これは、我慢する話じゃない。
私はそのまま、もう一度店に戻りました。
カウンターに行って、さっきの店員にそのまま言いました。
「さっきの対応、ちょっとおかしくないですか?」
店員は少し驚いた顔をして、何も言わなかった。
私は続けました。
「飴でいいかどうかも確認されてないし、断ったらあの出し方って」
「普通に現金で渡してもらえますか?」
周りの空気が、一瞬止まった感じがしました。
さっきとは違う。
今度は、こちらが落ち着いて話している。
店員は少し黙ってから、小さく「すみません」と言って、レジの中から10円玉と50円玉を出してきました。
ちゃんとした形で、98円を渡してきたんです。
その瞬間、ようやく胸の中のモヤモヤが抜けました。
たった98円。
でも、そのやり取りの中で感じた違和感や不快感は、それ以上のものでした。
もしあのまま何も言わなかったら、たぶん私はずっと引きずっていたと思います。
「自分が細かいだけなのかな」
「我慢するべきだったのかな」
そうやって、自分の感覚を疑っていたかもしれない。
でも違いました。
問題は金額じゃない。
扱いです。
勝手に決められること。
断ったら態度を変えられること。
そして、あの雑な対応。
それを“たいしたことない”で済ませるかどうかは、人それぞれだと思います。
でも少なくとも私は、
あのまま黙って受け取るのは違うと思いました。
だから、言ってよかったと思っています。
たった98円の話かもしれません。
でも、
その98円をどう扱うかで、その人の対応は全部見える気がします。
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