陣痛中、あまりの痛さで叫んでたら旦那から『俺、叫ぶ女嫌いなんだよね。』
……は?
分娩台の上で、私は命を削っていた。
医学が進んだって、出産は今でも【死ぬ】ことがある。
※【あなたの為なら死んでも構わない 命と引き換えにしても産んであげたい】
そう思って、ここまで来た。
なのに、横にいるはずの人間が吐いたのは“嫌い”だった。
助産師さんが「呼吸!いきみ逃して!」と声を張る。
私は酸素マスク越しに息を吸って、吐いて、また吸って、吐いて。
下腹が裂けるみたいに痛い。背中も骨盤も、内側から引きちぎられる。
「うるさいんだよ」
彼は小声で言って、スマホを見た。画面の光がやけに眩しかった。
私が呻くたび、ため息。
そして、顔をしかめて言った。
『俺、叫ぶ女嫌いなんだよね。』
次の瞬間、彼は産室の外へ出て行った。
“うるさいから”って。
私は分娩台から逃げられないのに。
そのあと、私は危なかった。
出血が止まらない。
「出血量、800超えてます!」
助産師さんの声が上ずる。
「点滴追加、もう一本!」
医師の声が低くなる。
血圧が下がる。
腕のカフが締め付けられて、モニターが鳴った。
「血圧、70台。意識レベル…!」
目の前が白く滲む。音が遠のく。
“あ、これ、私——”
その瞬間、頭の奥で誰かが囁いた。
※【あなたの為なら死んでも構わない 命と引き換えにしても産んであげたい】
……違う。
命と引き換えにしても産みたいのは、【この子】だ。
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