最初はただ、普通に買い物していただけだった。
欲しかった商品が棚に見当たらなくて、
同じ場所を何回も確認していた。
明らかにここにあるはずなのに、ない。
仕方なく周りを探し始めた。
すると、少し離れた場所にそれっぽいものがあった。
全然違う棚に、無理やり置かれている。
……は?
その時点でちょっと意味が分からなかったけど、
さらにその横で、別の人が商品を適当に棚に押し込んでいた。
明らかに元の場所じゃない。
さすがに見過ごせなくて、声をかけた。
「それ、元の場所に戻さないんですか?」
するとその人は、こっちを見て一瞬だけ止まって——
次の瞬間、
「欲しいんでしょ?」
そう言って、手に持っていた商品をそのまま投げてきた。
本当に、そのまま。
私は一瞬、何が起きたのか分からなかった。
普通に考えてあり得ない。
でも本人は何もなかったみたいにそのまま去ろうとした。
さすがにおかしいと思って、すぐに店員を呼んだ。
「今、商品投げられたんですけど」
状況を説明した。
すると店員は商品を見て——
「これ、ラップが少しずれてるので廃棄になりますね」
それだけだった。
私は思わず聞き返した。
「いや、それじゃなくて…」
でも店員は続けた。
「申し訳ありませんが、販売はできませんので」
つまり——
誰かが適当に扱ったせいで、商品は廃棄。
でも、その人には何もなし。
その状況が理解できなかった。
私はもう一度言った。
「今、投げられたんですけど」
でも返ってきたのは、ほとんど同じ言葉だった。
「申し訳ありません」
それだけ。
その瞬間、何かが一気に切れた。
私は手に持っていた商品をそのまま床に置いた。
そしてそのまま言った。
「じゃあ、いらないです」
店員は少し驚いた顔をしていたけど、
私はそのまま何も言わずにその場を離れた。
正直、たった一つの商品の話かもしれない。
でも問題はそこじゃない。
普通に買い物していただけなのに、
他人の行動で商品はダメになる。
さらに、その状況でも何も変わらない。
それが当たり前みたいに流れていく。
その感じが、一番納得できなかった。
あの場で買う気は完全になくなった。
たぶん、ああいうことをする人は何も思ってない。
でも、その影響を受けるのは、
ちゃんと買おうとしてる側なんだと思う。
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