実家から帰ってきた夜。
ソファの隙間に、見覚えのないヘアゴムが落ちていた。
「……これ、誰の?」
手に取った瞬間、嫌な予感がした。
でも、とりあえず妹にLINEした。
「このゴム、置いてった?」
「え?私のじゃないよ。ていうか最近行ってないし」
その一言で、全部おかしくなった。
この家に入る女は、私か妹だけ。
そのはずだった。
喉が詰まる。
でも、私は何も言わなかった。
――問い詰めても、意味がない。
どうせ嘘をつく。
だったら。
全部、見てから終わらせる。
「ただいま」
帰ってきた夫の顔を見ても、
私は普通に振る舞った。
「実家どうだった?」
「まあね」
それだけ。
でも頭の中では、ずっと同じことが回っていた。
――この家に、誰かを入れた。
――しかも、私の寝室に。
それだけで、もう無理だった。
そして、数日後。
決定的なものを見た。
自宅の見守りカメラ。
普段は犬の様子を見るためのもの。
何気なく、履歴を開いた。
最初は、ただの確認のつもりだった。
でも。
「……は?」
画面が止まった。
そこに映っていたのは、
見知らぬ女。
私の家の中で。
私の寝室で。
――私の睡衣を着ていた。
思考が、一瞬止まる。
さらに。
ベッド。
夫と、その女。
「うそでしょ……」
声が出なかった。
手が震えて、スマホを落としそうになる。
でも、それ以上に無理だったのは――
その横で、
私の犬が、不安そうに部屋をうろついていたこと。
女が、勝手に触る。
笑いながら、撫でる。
犬はしっぽを振らない。
ただ、じっと私の方を見るみたいに、カメラを見ていた。
その瞬間。
何かが、切れた。
浮気?
どうでもいい。
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