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「ランドセルを揺らされ“お漏らし”と笑われた小学生を見て何もできなかったので、後から全部動いたら状況が変わった話」
2026/04/22

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あの日の光景が、頭から離れなかった。

帰り道の途中だった。
仕事の合間に外に出て、たまたま見かけただけ。

でも、ただの“たまたま”で済ませられる内容じゃなかった。

紫のランドセル。
ひとつ結びで、メガネの女の子。

その子の後ろで、二人の子どもが笑っていた。

最初は、じゃれ合いかと思った。

でも違った。

ランドセルを掴んで、何度も揺らしている。

明らかに、強い力で。

そのうち、中から水が漏れたのか、
背中がどんどん濡れていった。

「うわ、お漏らし〜!」

その声で、完全に空気が変わった。

笑い声。

からかう声。

女の子は、必死に言っていた。

「違う、水筒!」

でも、誰も聞いていなかった。

次の瞬間。

ランドセルごと持ち上げて、地面にひっくり返した。

中身が全部飛び出した。

教科書、ノート、筆箱。

そして、タブレット。

その瞬間、胸の中がざわっとした。

——やりすぎだろ。

でも、足が動かなかった。

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声も出なかった。

周りに大人はいた。
でも、誰も止めなかった。

私も、その中の一人だった。

結局、私は何もできなかった。

そのまま仕事に戻った。

でも、ずっと引っかかっていた。

あの子の顔。
あの声。

「違う、水筒」

あれが頭から離れなかった。

夜になっても、寝る前になっても、消えなかった。

——このままでいいのか?

何もしてないのに、見てただけなのに、

なぜか自分が責められている気がした。

そして、スマホを手に取った。

あの場所。
あの時間。

思い出せる限り、全部メモした。

ランドセルの色。
髪型。
やり取りの内容。

そして次の日。

住吉区の学校を調べて、片っ端から問い合わせた。

「昨日、このようなことがありました」

最初は、少し戸惑われた。

でも、内容を伝えると、対応が変わった。

「確認します」

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それだけだったけど、確かに受け取ってもらえた。

さらに、現場付近の防犯カメラも確認した。

近くの店舗、マンション。

「この時間帯、映っている可能性がありますか?」

何件か回って、ようやく一つ、可能性のある場所を見つけた。

その情報も、学校に伝えた。

正直、ここまでやるつもりはなかった。

でも、一度動き始めたら止まれなかった。

数日後。

知らない番号から電話が来た。

「〇〇小学校です」

あの時連絡した学校だった。

少しだけ、息を飲む。

「先日のお問い合わせの件ですが」

一拍置いて、続けた。

「事実確認が取れました」

その一言で、体の力が抜けた。

「関係児童への指導と、保護者への対応を行っております」

淡々とした説明だった。

でも、それで十分だった。

「また、端末機器についても確認し、必要な対応を進めています」

——タブレット。

やっぱり問題になっていた。

「情報提供、ありがとうございました」

電話が切れたあと、しばらく動けなかった。

あの日、何もできなかったことは変わらない。

でも。

見て見ぬふりをしなかったことだけは、
無駄じゃなかったと思えた。

あの子が、これ以上同じことをされないなら。

少しでも状況が変わったなら。

それでいいと思った。

スマホを置いて、深く息を吐く。

あのとき、声をかけられなかった自分は変えられない。

でも、そのあと動いた自分は、

少しだけ、間違ってなかったと思えた。

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