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借用書もハンコもあるのに「それ俺の印鑑じゃない」と言われた…後から分かった、最初から仕組まれていたこと
2026/04/21

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そもそも、あいつとは長い付き合いだった。

だから信用していた。

「ちょっと資金繰りが厳しくてさ」

そう言われた時も、疑うとはなかった。

借用書もちゃんと用意していたし、条件も明確だった。

金額、返済期限、利息。

全部書いてあった。

「ここまでやるなら大丈夫だろ」

周りもそう言っていた。

そして最後に、ハンコ。

あいつはその場でポケットから印鑑を出して押した。

その瞬間、少しだけ違和感があった。

押し方が妙だった。

一回で押さずに、少しだけズラした。

でもその時は深く考えなかった。

正直、意味が分からなかったから。

そして半月後。

約束の日を過ぎても連絡は来なかった。

私は直接会いに行った。

「そろそろ返してくれないか」

するとあいつは、普通の顔で言った。

「何の話?」

冗談かと思った。

でも違った。

私は借用書を出した。

「あの日のだよ」

するとあいつは、それを見て笑った。

「これ?」

そして指差したのは、ハンコだった。

「これ、俺のじゃないけど?」

……は?

一瞬で理解が追いつかなかった。

「その場で押しただろ」

そう言うと、あいつは冷静に返した。

「証明できる?」

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その一言で、言葉が止まった。

あとから弁護士に相談した。

でも答えは同じだった。

「この印影だと厳しいですね」

「認印ですし、本人のものと断定するのは難しいです」

そこでやっと分かった。

最初から全部仕組まれていた。

あの時の“ズラし”。

印影をわざと潰していた。

そして使っていたのは、正式な実印じゃない。

あとからいくらでも否定できる状態だった。

つまり——

最初から返すつもりなんてなかった。

私は何も言えなかった。

悔しさより先に、理解してしまったから。

負けたんじゃない。

最初から、勝負になっていなかった。

それから一つだけ決めた。

どれだけ信用していても、

形式を甘くしない。

ハンコの種類も確認する。

印鑑証明も取る。

曖昧な状態では絶対に成立させない。

あの時みたいに——

「大丈夫だろ」で終わらせない。

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