あの日、正直かなりイラついていた。
理由も説明せずに、いきなりあの態度。
しかも親の前で。
普通に考えてありえない。
でも、その時の妻はいつもと違った。
どこか焦っているような、
わざとやっているような違和感があった。
そしてすぐに親戚が来た。
表弟と表叔。
入ってきた瞬間から態度がおかしかった。
家の中を見回して、ニヤッと笑う。
そしていきなり英語で言った。
「うちの家政婦のバッグの方がまだマシだな」
完全に見下していた。
しかもわざわざ英語で。
分かるように言っている。
わざとだ。
さらに追い打ちをかけるように——
妻が言った。
「この家?全然良くないよ」
「ローンだし、もう価値も下がってる」
……は?
さすがに頭にきた。
何でそこまで言う?
でもその時、違和感に気づいた。
妻は私を見ていなかった。
ずっと相手の反応を見ていた。
そして——
表叔が急に態度を変えた。
さっきまでの余裕が消えて、
少しだけ言いづらそうに口を開いた。
「実はさ……ちょっと金の相談があって」
その瞬間、全部繋がった。
なるほどな、と。
最初からこれが目的だった。
だから私は、何も考えずに言った。
「その態度で?」
一瞬で空気が止まった。
表叔の顔が固まる。
妻も初めてこちらを見た。
そのまま続けた。
「さっきまで散々バカにしておいて、今度は金?」
「誰が貸すと思った?」
完全に黙った。
さっきまでの威圧感は消えていた。
結局、その日は何も言えずに帰っていった。
帰ったあと、妻がぽつりと言った。
「だから言ったでしょ」
私は聞き返した。
「何が?」
妻はため息をついた。
「最初からお金目的だって分かってた」
あの時の行動の意味が、やっと分かった。
わざと貧乏に見せた。
わざと価値を下げた。
全部、貸さないため。
最初から断るための準備だった。
あの日、私は一つ学んだ。
見下してくる人間は、
だいたい最後に頼ってくる。
そして——
最初にどう接するかで、
全部決まる。
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