「おじさん、500円PayPayおくって!」
高2の娘から来たLINEの一発目がこれだった。
おじさん。
いや、まあ年齢的には間違っていない。
でも、君にとって私は父であり、
昔はちゃんと「パパ」と呼んでいた人間である。
一応、心の中でだけ抗議した。
すると続けて、
「夜ご飯今日ないです」
と来た。
なるほど。
父親ではなく、
財布として呼び出されたらしい。
でも、ここで変に説教しても面倒なだけだ。
腹が減っている高校生ほど、話が通じない生き物はいない。
私は黙ってPayPayで500円を送った。
すぐに、
「送りました」
と返す。
我ながら仕事が早い。
数時間後、娘から返事が来た。
「ありがと!」
まあ、そこはちゃんと言うんだな。
少し安心した。
私は軽く、
「最近外食多いなぁ」
と送った。
正直、怒っていたわけではない。
ただ、ちょっと言いたかっただけだ。
部活なのか、友達付き合いなのか、
それともただ家のご飯の気分じゃないのか。
理由はたぶん色々ある。
高校生なんてそんなものだ。
親に全部説明する年頃でもない。
こちらも、いちいち全部聞き出すつもりはない。
ただ500円を送った父が、
少しくらい小言を言う権利はあると思っていた。
しばらくして、今度は娘から短く、
「ごめんなさい」
と来た。
お。
珍しい。
素直だな、と思った。
しかし本番はその後だった。
日付が変わる少し前。
突然、娘からまたLINEが来た。
「ぱぱ」
来た。
ここで急にパパ。
さっきまで「おじさん」だった人間が、
深夜になるとパパへ昇格するらしい。
何事かと思って画面を見た。
「なんかギガぎなくなった?のかなって思うんだけど」
文章からすでに焦りがにじんでいる。
たぶん本人はかなり本気で困っている。
続けて、
「おもすぎて外でインスタもTikTokもぴーりある開けないしLINEも送れないし、送れたとしても時間かかるし画像以外つかえなくて不便なんだよね」
一気に来た。
句読点も何もない。
焦りがそのまま文字になって流れてきた感じだった。
私は思わず笑ってしまった。
ついに来たか。
人生初の通信制限。
今までWi-Fiのある場所で好きなだけ動画を見て、
アプリを入れて、
何も考えずにスマホを使っていた娘が、
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください
引用元:,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]