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「見えてただろ!」客が怒鳴る→運転手「精神状態で運転不可」バス運行休止、全員降車…でも営業所には運転して戻る?
2026/03/04

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「見えてただろ!なんで閉めたんだ!」

2026年2月27日、夜。
東京ビッグサイト発の都営バスで、いきなりそんな怒鳴り声が響いた。

私はその時、前から三列目の席に座っていた。
外はもう暗く、車内の照明だけがやけに明るく感じる時間だった。

バスはほぼ満席。
イベント帰りらしい人や、仕事帰りの人が静かに座っていた。

ドアが閉まった瞬間だった。

後ろから一人の中年の男が駆け込んできて、閉まったドアの前で叫んだ。

「見えてただろ!なんで閉めたんだ!」

車内の空気が、一瞬で凍った。

私は思わず振り返った。
スーツ姿の中年の男だった。
息を切らしながら、運転席に向かって怒鳴っている。

正直に言うと、その人が並んでいたのかは分からない。

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少なくとも私は、列に並んでいる姿は見ていなかった。

ただ、ドアが閉まった後に突然叫び出したのは確かだった。

運転手は少し驚いたようにミラーを見て、それからドアを開けた。

男は舌打ちしながら乗り込んできた。

「見えてたよな?普通」

車内の誰も、何も言わなかった。

男はそのまま運転席の近くに立ったまま、まだぶつぶつ文句を言っていた。

「客いるのに閉めるとかありえないだろ」

運転手は小さく「申し訳ありません」と言った気がする。
でも、はっきりとは聞こえなかった。

数秒の沈黙。

そのあと、運転手がマイクを取った。

「お客様にお知らせいたします。」

車内の全員が顔を上げた。

「現在、私は運転を続けられる精神状態ではありません。」

一瞬、意味が分からなかった。

「営業所に連絡を取り、判断を仰ぎます。」

車内がざわついた。

え?
どういうこと?

運転手は無線で営業所に連絡していた。

内容までは聞こえない。

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でも数分後、再びマイクを取った。

「営業所より指示がありました。まず、体調の悪いお客様はいらっしゃいますか?」

誰も手を挙げない。

そりゃそうだ。

まだ五分も経っていない。

そして運転手は言った。

「このバスは運行を取り止めます。次のバスをご利用ください。」

一瞬、静まり返った。

「次のバスの運賃は不要です。全員、降車をお願いいたします。」

結局、乗客全員が降ろされることになった。

私は少し呆れながらバスを降りた。

夜のバス停に、さっきまで車内にいた人たちが並ぶ。

寒い空気の中で、誰も最初は何も言わなかった。

でも、数秒後だった。

後ろにいた男性が、あの怒鳴った男に向かって言った。

「並んでなかったよね?」

男は振り返った。

「は?」

別の人も言った。

「ドア閉まってから来たよね。」

空気が少し変わった。

さっきまで黙っていた人たちが、ぽつぽつと言い始めた。

「怒鳴る必要あった?」

「普通に言えばよかったのに」

「結局、全員降ろされたじゃん」

男は何か言い返そうとした。

「いや、だって――」

その時、さっきの男性がはっきり言った。

「お前のせいだろ。」

その一言で、周りが一斉に静かになった。

誰も反論しなかった。

ただ、何人かが小さくうなずいていた。

男はしばらく立ったままだった。

でも、何も言えなかった。

さっきまであんなに怒鳴っていたのに。

結局、男は少し離れた場所に移動した。

私たちはそのまま次のバスを待った。

五分くらいして、次のバスが来た。

今度は誰も怒鳴らなかった。

全員、静かに列に並んで乗った。

さっきの男は、一番後ろに並んでいた。

誰も話しかけなかった。

ただ一つだけ思った。

あの人が、最初に怒鳴らなければ。

私たちは、もうとっくに家に向かっていたはずだ。

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