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子どもを人質にされた母ゾウは、抵抗することすらできなかった
2026/05/06

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なんで、“命”より“繁殖”が優先されるんだよ。

ネパール・チトワンで、私は一頭の母ゾウを見た。

鉄鎖に繋がれたまま、ほとんど動かない母ゾウだった。

最初は、足でも悪いのかと思った。

でも違った。

動けないんじゃない。

動かないように、“動けなくされていた”。

現地で話を聞いて、私は言葉を失った。

この施設では、繁殖のために母ゾウを長時間鎖で拘束することがあるらしい。

そして発情した野生のオス象を近づける。

逃げ場なんてない。

拒否もできない。

鎖に繋がれたまま、耐えるしかない。

これを“繁殖”って呼ぶの、本当に気持ち悪かった。

しかもゾウは、人間が思ってる以上に感情の強い生き物だ。

仲間の死を理解する。
家族を覚えている。
深いストレスで鬱状態になることもある。

中には、そのまま衰弱して死ぬ個体もいると言われている。

だから人間は、さらに残酷な方法を使う。

母ゾウの近くに、小象を置く。

母親は子どもを守ろうとするから。

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暴れれば、小象が傷つく。

だから動けない。

つまり——

鉄鎖で身体を縛って、
子どもで心を縛る。

ここまでして、まだ「保護活動」と言うのか。

私はその母ゾウの目が忘れられない。

怒っているわけじゃなかった。

諦めていた。

ただ静かに、全部を受け入れるしかないような目をしていた。

周囲では観光客が笑っていた。

「かわいい〜!」
「赤ちゃんゾウだ!」

スマホを向けて、写真を撮っていた。

施設側は「象の繁育に貢献しています」と説明する。

でも、その裏で壊されている母ゾウのことは、誰も見ようとしない。

ゾウは本来、母系社会だ。

年長のメスが群れを率い、子どもたちを守り、家族で生きる。

なのに人間は、その知能も感情もある動物を、“子どもを産む道具”みたいに扱っている。

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「種を残すため」?

違うだろ。

観光のためだろ。

金のためだろ。

小象が生まれれば、人が来る。

「感動しました!」ってSNSに上がる。

施設は儲かる。

だから母ゾウがどう壊れていくかなんて、後回しになる。

私はあの日、本当に吐き気がした。

人間って、自分たちの欲望を“優しさ”みたいに見せるのが上手すぎる。

「保護」

「繁育」
「共生」

綺麗な言葉はいくらでも並べる。

でも、本当に守りたいなら、なんで鎖が必要なんだよ。

本当に愛してるなら、なんであんな目をさせるんだよ。

母ゾウは、子どもを守るために動かなかった。

いや。

動けなかった。

その姿を見た時、私は初めて思った。

一番残酷なのは、“暴力”そのものじゃない。

暴力を“必要なこと”として正当化する人間だ。

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