「駐車場に潰れたジュース缶が放置されてて、そのせいでうちの代車だけ全部ベタベタにされた。」
朝取りに行ったら、後ろのタイヤ周りがぐちゃぐちゃで、最初は何が起きたのか分からなかった。
よく見たら、隣の車が踏んだ缶がそのまま転がってる。
……は?
普通、そのままにする?
こっちだけ全部被害受けてるんだけど。
正直、その時点でかなりイラッとした。
でも——
それだけじゃなかった。
少し待っていたら持ち主が戻ってきて、一言目がこれだった。
「しょうがないでしょ」
……は?
今なんて言った?
一瞬、耳疑った。
こっちは朝から意味わからん被害受けて、車ベタベタにされてんのに、第一声がそれ?
正直、ちょっと怖いくらいにイラッときた。
でも、ここで感情ぶつけたら負けだなと思って、一回だけ深呼吸した。
で、できるだけ冷静な声で言った。
「これ、あなたの踏んだ缶ですよね?」
男は少しだけ目を逸らして、
「まぁ…そうだけど」
って、めちゃくちゃ軽い感じで返してきた。
いや軽すぎだろ。
そのまま続けた。
「この代車、借り物なんで。汚れ落ちなかったら普通に修理とかクリーニング代かかるんですよね」
そう言った瞬間。
相手の顔、ちょっとだけ固まった。
でもまだ強がって、
「いやでも、そんな大げさな…」
とか言ってくる。
だから俺、スマホ取り出して、車の汚れと缶の位置、全部撮った。
カシャ、カシャって音が静かな駐車場に響く。
それ見た瞬間——
空気、変わった。
「一応これ、管理会社と保険に確認しますね。場合によっては弁償になると思うんで」
そう言ったら、
さっきまであんな態度だったのに、
「いや、ちょっと待ってください」
って急に声のトーン下がった。
え、さっきの“しょうがないでしょ”どこ行った?
そのまま男、慌てて車のトランク開けて、
ゴソゴソ何か探し始めた。
で、出てきたのが——
ボロいタオル。
次の瞬間、
無言でしゃがみ込んで、うちの車のタイヤ周り、ゴシゴシ拭き始めた。
さっきまでの態度と別人すぎて、正直ちょっと笑いそうになった。
しかも、
「すみません本当にすみません」
って、めちゃくちゃ低姿勢。
いやいや。
さっき“しょうがない”って言ってたよな?
内心、
(人ってここまで変わるんだな…)
って思いながら見てた。
でももちろん、それだけじゃ終わらせない。
「これ、ちゃんと落ちますよね?」
って一言だけ追加したら、
「はい!落とします!ちゃんとやります!」
って、さらに必死。
その後、
タイヤだけじゃなくて、ボディまで一通り拭いて、
最後は自分の服で細かいところまで擦ってた。
そこまでやる?ってレベル。
最終的に、
「クリーニング代とか必要だったら連絡ください」
って、自分から言ってきた。
さっきと同一人物とは思えない。
正直、
最初の一言で完全にスイッチ入ったけど、
あそこでちゃんと圧かけたのは正解だったなと思う。
何も言わなかったら、多分あのまま普通に帰ってたと思うし。
こういうの、
「しょうがない」で済ませたらダメだなって、改めて思った。
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