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「顔が見えないと仕事してるかわからない」課長の一言を、私は見過ごせなかった。
2026/06/04

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課長がオンライン会議で言った。

「カメラ、なんでオフにしてるの?」

在宅勤務の新人が、少し言いにくそうに答えた。

「……事情があって、すみません」

すると課長は言った。

「社会人なんだから顔を出すのは当然でしょ」

僕はチャットに打ち込んだ。

「課長、少し聞いてもらえますか」

「彼女、自宅の回線が不安定で、カメラをオンにすると音声が途切れると事前に僕へ相談していました。映像より音声の方が会議には必要だと判断したそうです」

課長は少し間を置いて言った。

「でも顔が見えないと、ちゃんと参加してるかわからない」

僕は返した。

「参加しているかどうかは発言の中身で判断できます。顔が見えることと、仕事をしていることは別の話です」

課長は黙った。

会議が終わった後、彼女からチャットが届いた。

「フォローありがとうございます。言い出せなくて……」

僕はこう返した。

「次から最初に一言入れるといいよ。回線の都合でカメラオフですって。それだけで印象は全然違うから」

彼女は「わかりました」と返してきた。

次の会議から、彼女は最初に一言添えるようになった。

「回線の都合でカメラオフにしています」

課長も何も言わなくなった。

カメラオン。

出社義務。

服装規定。

ルールを問い直したとき、

「なぜそうするのか」

を説明できないなら、

それはもう慣習でしかない。

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