その日は友人との飲み会だった。
仕事終わりでそのまま来たから、
メイクも朝からずっとそのまま。
しかもその日は暑かった。
店に着く頃には、
前髪は少し崩れてるし、
ファンデも若干ヨレてる。
でも、
「まあいっか」
と思って席についた。
料理は美味しかった。
焼き鳥も、
だし巻き卵も、
ポテサラもちゃんと美味しい。
店員さんも感じが良くて、
友人との会話も盛り上がった。
笑って、
飲んで、
また笑って。
でも女性って、
楽しい時間の途中で急に現実に戻る瞬間がある。
それが、
“鏡を見た時”。
途中でトイレに行って、
鏡を見た私は思わず固まった。
「あ、マスカラ終わってる…」
笑いすぎたせいか、
目尻が少し黒くにじんでいた。
しかも下まぶたにも薄くついてる。
ティッシュで拭こうとしたけど、
余計に広がりそうで怖い。
こういう時、
絶妙に困る。
大惨事ではない。
でも、
このまま席に戻るのも嫌。
そんな“地味に困る瞬間”を、
女性は意外と何度も経験している。
その時だった。
鏡の横に置かれた、
小さな透明ケースが目に入った。
中には綿棒。
しかも一本ずつ綺麗に並べられていた。
私は思わず、
「うわ、助かる…」
と小声で言ってしまった。
綿棒って、
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