退職金の通知書に、赤いマイナスが並んでいた。
-119,900円。
一瞬、頭が真っ白になった。
次の瞬間、拳を握り締めていた。
9年だぞ。
9年2ヶ月。
愛知の物流倉庫で汗をかき、夏は40度近い現場で段ボールを運び、年末は三連休ゼロ。フォークリフトの免許も自腹で取った。繁忙期は月60時間の残業。それでも黙って働いた。
その9年の答えが、マイナス?
通知書をもう一度見る。
確定拠出年金(DC) 545,000円
会社都合退職一時金 517,833円
合計 1,062,833円
自己都合係数 40%
退職金合計 425,100円
そして、その下。
一時金支給額 -119,900円
支給額 0円
ゼロじゃない。
マイナスだ。
「9年働いて、最後に金払えってことかよ。」
声が勝手に出た。
冷静に見れば、計算は整っている。
合計して、40%を掛けて、そこからDCを引く。
だが、違和感が消えない。
なぜDCを合算してから減らす?
なぜ最初から減額前提の式になっている?
これは偶然じゃない。
制度設計だ。
自己都合係数40%。
会社に有利な掛け率。
DCも一旦合算して減らす計算。
数字の並びが、あまりにも“作られている”。
俺はそのまま総務へ向かった。
「これ、俺が払うんですか?」
声は低かったが、怒りは隠さなかった。
総務は一瞬だけ目を泳がせた。
「いえ、請求ではありません。支給額が0円という意味です。」
その言い方が腹立たしかった。
ゼロに“された”だけ?
いや、違う。
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