買い物を終えて駐車場に戻ったときだった。
遠くから見て、
私は思わず足を止めた。
「……え?」
自分の駐車スペースの前で、
完全に動きが止まる。
そこには、
巨大なラングラーが停まっていた。
しかも普通の停め方じゃない。
斜めに停まり、
タイヤは完全に白線を越えている。
そして問題はそこじゃなかった。
その車は、
私の駐車スペース 「3番」 にまで
はみ出していた。
つまり――
二台分使っている。
私は思わず周りを見た。
ここは住宅横の共用駐車場。
全部で十台ほど停められる場所だ。
周りには軽自動車や普通のコンパクトカーが
きれいにラインの中に収まっている。
その中で、
一台だけ異様に目立つ車。
巨大なタイヤ。
高く持ち上げられた車体。
まるでオフロードレース用の車みたいだった。
「いやいや…」
私は自分のスペースを見た。
3番。
しかしその半分には、
ラングラーの巨大なタイヤが乗っている。
このままじゃ
私の車は停められない。
「どうすんだこれ…」
私はとりあえず写真を撮った。
そして少し待つことにした。
数分後。
遠くから足音が近づいてきた。
ラングラーの方へ歩いてくる男がいる。
30代後半くらいだろうか。
キーを手に持っている。
どうやらこの車の持ち主らしい。
私は声をかけた。
「すみません、この3番なんですけど」
男は車を見て、
そして私を見た。
そして言った。
「この車、幅あるんで。」
一瞬、意味が分からなかった。
「……え?」
男は続けた。
「普通の枠だと狭いんですよ」
私は駐車スペースを見た。
普通の駐車枠だ。
そして言った。
「でもここ共用駐車場ですよね」
すると男は肩をすくめた。
「まあでも、
こうしないと停められないんで。」
完全に、
悪びれる様子はなかった。
私は周りを見た。
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