朝の空気は冷たく、まだ薄暗かった。
車のエンジンをかける前、私はいつも通りタイヤをチェックした。
しかし、視線が下に落ちた瞬間、心臓が止まるかと思った。
パンクしている。
しかもただのパンクじゃない。
タイヤの表面に、何かがべったり貼り付いている。
手を伸ばすと、粘着テープで逆さまの釘がタイヤに固定されていた。
車を動かしたら、確実に刺さる位置だ。
怒りが瞬時に全身を駆け巡る。
「誰だ、こんなことを…!」
口から出た声は震えていた。
現場を見回すと、朝の静けさに鳥の鳴き声だけが響く。
誰もいない。
これは明らかに、仕組まれた犯行だ。
頭の中で状況を整理する。
粘着テープの上に、店のシールとバーコードが残っていた。
おそらく釘はそこから購入されたのだろう。
これさえあれば、犯人を特定できる。
にやりと笑みが漏れた。
まさか、ただの嫌がらせだと思っていたが、計画性がある。
逆に、私にとっては証拠が揃ったラッキー案件だ。
しかし、時間は待ってくれない。
この荷物を今日中に納品しなければならない。
タイヤをパンクさせられたせいで、納品が遅れる。
損害賠償の請求材料が揃ったと思うと、怒りと同時に勝ち誇った感情が湧く。
手袋を取り出し、釘を慎重に取り外す。
一つ一つの動作が、犯人への反撃の準備のように感じられる。
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