「えっ、これ仮免許じゃん…」
高速に入った瞬間、黄色い軽自動車が目の前にいるのに気づいた。
ナンバープレートの下には小さく「教習中」と書かれている。
思わずハンドルを握る手に力が入る。
後ろから車が迫る。逃げられない。心臓がバクバクする。
「レンタカーで仮免貸すとか、絶対規約違反だろ…」
頭の中で契約書の文字が浮かぶ。「仮免者には貸さない」とはっきり書かれていたはず。
前の黄色い車は、ぎこちない動きで左右にフラフラ。ウインカーはほとんど使われない。
呼吸を整える。冷静に観察するしかない。
少し速度を落として、車間距離を広げる。
目の前の車のハンドルの動きを追う。小刻みに左右に揺れる。
「ここで事故ったら、私も巻き込まれる…」
焦りと緊張で手汗が増す。スマホは握れない。
隣の助手席の同乗者も顔をこわばらせる。
「なんでこんなことが許されるんだ…」
心の中で叫ぶ。
この車を貸した業者の顔を思い浮かべる。
契約違反を黙認した結果がこれか。
私は少し間隔を空け、黄色い車の後ろにしばらくついて走行することにした。
フラフラしながらも、なんとか一定速度で走っている。
事故にはならなさそうだと、胸をなでおろす。
周囲のドライバーも気づいている。
ちらちらと私たちを見ながら、驚きの表情。
スマホを取り出して写真を撮る人までいる。
「まさか仮免で高速走るやつがいるなんて…」
心の中でツッコミを入れる。
笑いたいけど、笑えない。事故のリスクは目の前にある。
しばらく走ると、黄色い車は出口付近で減速した。
教習所の看板が近くにある。少し安堵する。
「事故にならなかっただけ、奇跡だ」
私は深呼吸して、ハンドルを握り直す。
助手席の同乗者と目を合わせ、軽くうなずく。
記事はまだ終了していません。次のページをクリックしてください