停車中だった。
完全にこっちは動いていない。
つまり過失ゼロ。
なのに、ぶつけてきた相手は妙に軽い。
最初から違和感はあった。
そして決定的だったのが、
「無保険です」という一言。
正直、この時点で面倒確定。
普通なら保険会社同士で終わる話が、
全部“直接対応”になる。
時間も手間も、全部こっちに来る。
でもまだ終わらなかった。
連絡先交換の段階で、相手が言った。
「住所は教えたくない」
一瞬、意味が分からなかった。
いや、教えないって何?
弁護士対応に必要だと説明しても、
「怖い」の一点張り。
警官も入って説得する。
でも、通じない。
完全に“逃げる気”。
ここで感情的にいくと終わる。
だから私は、冷静に切り替えた。
警察に確認した。
「このまま情報拒否された場合、どうなりますか?」
警官ははっきり言った。
「記録には残りますし、後日正式な照会が可能です」
――なるほど。
つまり、“今逃げても無駄”。
ここから流れが変わった。
私は相手に向かって、淡々と伝えた。
「大丈夫です。警察経由で全部取れるので」
この一言で、相手の顔色が変わった。
さっきまでの余裕が消える。
「いや、それは…」
もう遅い。
事故記録は残ってる。
ナンバーも押さえてる。
逃げても、追われるだけ。
さらに私は続けた。
「無保険なので、全額自己負担になりますよね」
ここで完全に崩れた。
「そんなにかかるんですか…?」
今さら?
さっきまで逃げてたのに、
急に現実を理解し始める。
でもこれは当然。
無保険+過失あり=逃げ場なし。
その場では最後まで住所を出さなかったが、
警察経由で情報は取得可能。
結局、逃げた側が一番詰む。
私はその場を離れながら思った。
こういう人間は、
“逃げれば何とかなる”と思ってる。
でも現実は逆。
記録が残った瞬間、
逃げ道はどんどん狭くなる。
ぶつけた側じゃなくて、
逃げた側が詰む。
それがこの手の事故の本質だ。
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