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「肌着に血が滲んでいた。」風呂場で小3の息子の肩を見た瞬間、私は凍りついた。保育園の頃から有名な問題児に掴まれたと聞き、病院で診断書を受け取った私は、そのまま校長室のドアを蹴り開けた。
2026/03/15

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「肌着に血が滲んでいた。」

風呂に入ろうとした小3の息子の肩を見た瞬間、私は息を呑んだ。
右肩に赤い爪痕。よく見ると、左肩にも同じような跡が残っている。
指で強く掴まれた跡だった。

「これ、誰にやられたの?」

息子は少しだけ目を逸らして言った。

「大丈夫。いつものことだから。」

その一言で、胸の奥が冷たくなった。

「いつものことって、どういう意味?」

聞くと、息子はぽつぽつと話し始めた。

相手は、クラスで有名な問題児。
保育園の頃からトラブルが多く、何度も保護者が学校に相談してきた子だという。

「今日はどうしたの?」

「ケンカしてた子がいてさ、止めただけ。」

つまり、息子は仲裁に入っただけだった。
それなのに、その子は怒って息子の肩を掴み、力いっぱい引き寄せたという。

「先生は?」

「知ってる。でも……」

息子は少し黙ってから言った。

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「子供同士のことだからって。」

その瞬間、胸の奥で何かが弾けた。

これはもう、子供同士の問題じゃない。

私はすぐ言った。

「服着て。病院行くよ。」

夜の救急外来は思ったより混んでいた。
待合室で座っている間も、息子の肩の傷が頭から離れない。

やっと呼ばれて診察室に入ると、医師は息子の肩を見て眉をひそめた。

「これは……強く掴まれてますね。」

私は聞いた。

「ケンカの傷に見えますか?」

医師ははっきり答えた。

「いいえ。これは暴力です。」

その言葉で、迷いは消えた。

「診断書、お願いします。」

医師は静かに頷いた。

帰り道、車の中で息子がぽつりと言った。

「ママ、学校に言わなくていいよ。」

「どうして?」

「みんな、よくやられてるから。」

私はハンドルを握る手に力が入った。

「みんなって?」

「クラスの子。」

つまり、この子だけじゃない。
何人もの子が同じことをされている。

なのに、誰も止められていない。

翌朝、私は診断書をバッグに入れて学校へ向かった。

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まず担任に会った。

事情を説明すると、担任は困ったように言った。

「子供同士のトラブルなので……」

その瞬間、私は静かに言った。

「そうですか。」

バッグから診断書を取り出して机の上に置いた。

「これは病院の診断書です。」

担任の顔色が変わる。

「校長先生とお話できますか?」

校長室の前に立ったとき、胸の奥の怒りが一気に込み上げた。

私はドアを開けた。

いや、正確には——

蹴り開けた。

突然の音に、校長が椅子から立ち上がる。

私は診断書を机に叩きつけた。

「これ、見てください。」

校長は紙を手に取り、目を通す。
そして、少しだけ顔色が変わった。

「学校としても注意はしているのですが……」

私は途中で遮った。

「そうですか。」

そして言った。

「警察に相談します。」

その瞬間、校長の表情が固まった。

部屋の空気が一気に重くなる。

「少し、お時間をください。」

その日の夜。

保護者グループのLINEが鳴った。

知らない番号からメッセージが届いた。

「うちの子もやられてました。」

そのあと、すぐに別のメッセージ。

「うちもです。」

「うちも。」

「うちも。」

気づけば、同じ話が次々と出てきた。

殴られた。
突き飛ばされた。
掴まれた。

被害の子は、十人近くいた。

なのに、ずっと「子供同士のこと」で済まされてきた。

翌週。

学校から連絡が来た。

問題児は——

別室登校になった。

クラスで暴れることはできなくなった。

その日の夕方、息子が帰ってきた。

ランドセルを置いて、ぽつりと言った。

「今日さ。」

「誰も殴られなかった。」

私は静かに息を吐いた。

ずっと放置されていたことが、
やっと止まった。

そして私は思った。

やっと——

大人が動いた。

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