ゆうちゃんのことを話すと、
今でも少しだけ手が冷たくなる。
あれは僕が8歳の頃だった。
当時の僕は、あまり友達が多い子ではなかった。
教室にいても、休み時間になると何をしていいか分からない。
誰かの輪に入ろうとしても、
うまく笑えない。
だから放課後は、いつも一人だった。
そんな僕に、初めて声をかけてくれたのが、
ゆうちゃんだった。
「お前、いつも一人で帰ってんの?」
最初は少し怖かった。
上級生だったから。
でも、ゆうちゃんは笑っていた。
「じゃあ、今日から一緒に帰ろうぜ」
その日からだった。
ゆうちゃんは毎日のように僕の家まで来て、
「遊びに行こう」と誘ってくれるようになった。
僕はそれが嬉しくて仕方なかった。
学校が終わる時間になると、
今日はどこへ行くのか、何をして遊ぶのか、
そればかり考えていた。
母も父も、ゆうちゃんを気に入っていた。
「面倒見のいい子だね」
「上級生なのに、よく遊んでくれるね」
家族がそう言うたび、
僕は少し得意な気持ちになった。
ゆうちゃんは、僕にとって本当に兄のような存在だった。
自転車の乗り方を教えてくれた。
知らない道を教えてくれた。
転んだ時も、笑いながら手を差し出してくれた。
「泣くなって。男だろ」
そう言われると、
なぜか本当に泣き止めた。
ある日の夜。
僕は布団の中で目を覚ました。
いや、目が覚めたのに、体が動かなかった。
声も出ない。
手も足も動かない。
天井だけがぼんやり見えていた。
その時だった。
部屋の隅に、誰かが立っていた。
ゆうちゃんだった。
いつもの服だった。
いつもの顔だった。
でも、何かが違った。
ゆうちゃんは僕を見ていた。
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引用元:https://twitter.com/kirintosiden/status/2047654288260759740?s=46,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]