あの日、私はただいつも通り、仕事帰りの電車に乗っただけだった。
それなのに、ほんの数分で、私は「痴漢」として世間に晒される側に突き落とされた。
車内は帰宅ラッシュで、息苦しいほど混んでいた。
ドア付近に立って、スマホと鞄を両手で抱えたまま、ただ揺れに耐えていた。
その瞬間だった。
目の前にいた中年女性が、いきなり振り向きざまに、私の脇腹に肘を叩き込んできた。
あまりの痛みに、その場で身体がくの字に折れた。
息が詰まり、何が起きたのか一瞬わからなかった。
それでも私は顔を上げて、ただ一言、「何するんですか」と言おうとした。
だが、私が口を開くより早く、その女は大声で叫んだ。
「この人、触りました! 痴漢です!」
車内の空気が、一瞬で変わった。
さっきまで誰も他人に興味なんてなかったはずなのに、次の瞬間には、全員の視線が私に突き刺さっていた。
軽蔑、嫌悪、決めつけ。
私は何もしていない。
それなのに、その場にいた誰一人として、まず私の話を聞こうとはしなかった。
「逃げるな」
「最低だな」
「駅員呼べ」
そんな声に囲まれながら、私は次の駅で降ろされた。
中にはスマホを向けて撮影する人までいた。
その日のうちに、切り取られた動画はSNSに流れ、私は「電車内で女性に声を上げられた男」として拡散された。
文脈も真実もない。
あるのは、女が怯えた顔をして、私が黙って立っている数秒の映像だけ。
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引用元:https://www.threads.com/@deummy2751a/post/DWAtsfkE2Ad,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]