朝の空気は少しひんやりしていた。
狭い路地に立ち、今日も隣の奥さんの洗濯物を眺める。
視線の先には、細い道を横切るように干されたタオルやシャツ。
車一台通るだけでもギリギリのこの道に、洗濯物が占領している。
心の中でため息が漏れる。
「またか…」
昨日もそう思った。前に雨が降りそうな時、私は声をかけた。
「雨が降りますよ、洗濯物濡れますよ」
返ってきたのは、何のリアクションもない冷たい視線。
「…ありがとう」の一言もなかった。
その瞬間、私の胸の中で何かがぷつりと切れた気がした。
今日も同じだ。
乾いた風に揺れるタオルが、まるで挑発しているかのように見える。
道を通る近所の人たちも、みんな少し顔をしかめて通過する。
「これって普通に迷惑だよな…」
しかし、声をかけるかどうか、少し迷う自分もいる。
「私、器小さいかな…?」
思わず自問する。
でも考える。
前回、声をかけて無視された。
あの時、何も返事がなかった。
ありがとうもない。
それでもあの時は教えるべきだと思った。
だけど、やっぱり何も変わらなかった。
今ここでまた声をかけても、同じ結果になる可能性が高い。
路地の端まで歩きながら、奥さんの家の窓をちらっと見る。
カーテン越しにこちらを見ている気配はある。
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