車が川に縦に刺さり、私は書類のために3回潜った。
息も整わないまま這い上がり、川底に半分突き刺さった自分の車を見上げながら、私はまだ状況を理解できていなかった。
それでも警察は言った。
「書類は?」
話を最初からすると、私は悪くない。
川沿いの細い道で、前から来たチャリを避けただけだ。
避けたつもりが、気づいたらガードレールをかすめ、そのままスロープみたいに川へ。
次の瞬間、世界が縦になった。
本当に縦回転ってするんだな、と思った。
そして車は、見事に川底へ“刺さった”。
どうにかシートベルトを外し、水が入り始めた車内から這い出す。
鼻に水が入り、咳き込みながら岸へ泳ぐ。
片方の靴がない。
スマホも財布も車内だ。
岸に上がった瞬間、私は思った。
「さすがに今日はこれで終わりだろ」
甘かった。
パトカーが到着し、警察官が降りてくる。
状況確認、怪我の有無、周囲の安全。
そこまでは普通だった。
そして来た。
「免許証と車検証、お願いします」
私は一瞬、聞き間違いかと思った。
「……車の中です」
川を指差す。
縦に刺さっている私の車を。
警察官は真顔だった。
「確認できないと処理できませんので」
処理。
私はまだびしょ濡れだ。
鼻に水が残っている。
片足は裸足だ。
でも彼は続ける。
「規則ですから」
規則。
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