ある朝、私はいつものようにすき家の店内で仕事を始めた。店内にはお客様が少しずつ集まり始め、牛丼の香りが広がっていく。私の目の前には、駐車場が見える窓があり、毎日何度もその駐車場を気にすることになる。
そして、今朝もあの車が停まっていた。
車は、毎朝9時から夜8時半まで、まるで自分の駐車場のように占拠していた。しかも、何度も注意しても全く動かない。数日前にも、何度か私たち店員が車主にお願いをしたが、返事すらもらえなかった。正直、私はその時点で限界を感じていた。
「今日こそ、やるべきだ」
その日も例外ではなかった。車は相変わらず停まっている。見かけた瞬間、心の中で何かが弾けたような気がした。私たちは、お客様に快適な食事を提供したいと思っているのに、この車が毎日駐車場を占領しているせいで他のお客様が駐車できない。私たちの苦情も全く響かない。それなら、私がその態度に一泡吹かせる番だと思った。
「今日は何かしら、きちんとやらないと」と心に決めた私は、店内の事務所に向かい、A4の紙を手に取った。
そこには、駐車場に無断で長時間停めていることへの警告を書いた。
一枚目を貼った瞬間、何だかスッキリした気分になった。続けて二枚目、三枚目……。気づけば、私は車全体を覆うくらいの警告紙を貼っていた。警告内容はこうだ。
「すき家の駐車場に長時間無断駐車することは禁止されています。すでに何度もお願いしましたが、無視され続けました。これ以上の駐車は他のお客様にご迷惑をおかけします。これが最後の警告です。」
紙の数は最終的に286枚にもなり、車の窓ガラスからボンネットまで、全ての面が警告文で覆い尽くされていた。私はその光景をじっと見つめながら、なんだか心の中で溜まっていたモヤモヤが少しずつ晴れていくのを感じていた。
その頃、店内にお客様が増え始め、私たちは忙しくなった。けれど、心の中で一つだけ気がかりなことがあった。それは、車主がこの光景を見てどう反応するかということだった。
午後の3時過ぎ、ついにその車主が現れた。私は店のカウンターで忙しく作業をしている最中だったが、視線を感じて窓の方をチラリと見ると、その車主が車に近づいていた。
彼は目を見開いて、車に貼られた紙を次々に見ていった。その表情からは驚きと混乱が読み取れた。やがて、怒りを込めてその紙を引き剥がし始めたが、私は内心で思った。「まあ、これも自業自得だ」と。
その時、店内にいた常連のお客様が声をかけてきた。
「おいおい、この車の人、もうちょっとマナーを守れよな。すごい貼られてるじゃん。」
その言葉に私も頷きながら、心の中で大きな声で「そうなんです!」と叫んでいた。
車主はかなり怒っていた様子で、紙を引き剥がしているものの、次第にその顔には恥ずかしさが見え始めた。
おそらく、彼はこれまで自分の行動がどれだけ周囲に迷惑をかけていたのか、今になってようやく実感しているのだろう。
私たち店員としても、あの瞬間が大きな達成感を感じる瞬間だった。それと同時に、他のお客様のためにも、やるべきことをしっかりとやったという思いが胸に込み上げてきた。
店内にいる他のお客様も、私の行動に対して共感を示してくれた。彼らも、私のように日々この駐車場を占拠されていたことに不満を持っていたのだろう。結局、その車主は何も言えず、慌てて車を動かして去っていった。
その後、駐車場は再び整理され、すき家に来るお客様たちも満足そうに車を停めて、店内で楽しい食事を楽しむことができた。
あの時、私はただ一人で正義を貫いたわけではない。私たち全員、すき家のスタッフ、そしてお客様たちも、駐車場の秩序を取り戻すために戦ったのだ。
時には、少し過激に思える行動が必要なこともある。今日、私はその重要な一歩を踏み出した。車主にとっては、少し過剰に感じるかもしれないが、私たちにとっては、他のお客様への思いやりが何よりも大事だ。
そして、あの車主は二度とあの駐車場を占拠することはないだろう。私たちの戦いが少しでも世の中のマナー改善につながることを願っている。