財布を拾ったその瞬間
その日、私はいつものように仕事を終え、近くのゲームセンターに寄った。新しいゲームを試したり、気分転換に少しだけ遊んだりするのが、毎週の楽しみだった。ゲームに興じていた私は、トイレに行く必要があって、休憩のためにちょっと席を外すことにした。
トイレに入って手を洗っていると、何かが目に入った。
無造作に置かれた財布。床に落ちていたわけでもなく、棚に置かれたその財布が私の目に飛び込んできた。
「え?」
思わず立ち止まって、その財布に目をやる。確かに、誰かが置き忘れたものだろう。
その財布は見た目が高級そうで、皮革の質感が光っていた。ルイ・ヴィトンのロゴがしっかりと刻まれていて、値段の高いものだろうとすぐにわかる。
中身が気になった私は、財布を手に取って、軽く開けてみた。
中には、大量の現金 と 何枚ものクレジットカード がきちんと整理されて入っていた。見ると、現金は 二十万円近く 入っているように見えた。
「これは…かなりの額だ。」
その瞬間、私は思った。この財布が誰かのものであることは明らかだが、どうすべきか迷った。
これだけの現金が入っていて、誰にも知られずにそのまま持ち去ったら、 私の手に入るかもしれない。
だが、すぐにその考えを否定した。
「いや、ダメだ。これは他人の物だ。」
とりあえず、財布をバッグにしまい、私はトイレを出ることにした。
矛盾と葛藤
どうするべきか。財布を拾った瞬間から、私の心の中では 葛藤 が始まった。とりあえず、店員に渡すのが最も正しい選択だろう。しかし、もし店員が 勝手に中身を取ったり、無視して隠したりしたらどうするのか と心配になった。
「警察に届ければ一番確実だろうけど、時間がかかるし、面倒だな…。店員に渡すのが手っ取り早いけど、店員が本当に信頼できるか…」
そう考えながら、私は財布を手に持ち、意を決してゲームセンターの店員に渡すことに決めた。
しかし、店員に渡すために歩き始めたその時、思わぬ事態が起こった。
突如として現れた男
財布を持ってトイレを出たところで、突然 後ろから声をかけられた。振り返ると、金髪の若い男性が こちらに向かって歩いてきた。「それ、盗みましたよね?」
その男は、私に近づくと、そのまま財布に目を向けてこう言った。
「二十万くらい入ってたんですが、中身確認します。」
「は?」私は驚いて思わず言葉を失った。一体、この男は何を言っているのか? それに、私が財布を 盗んだ というのはおかしい。
「いや、俺はただ…」言い訳をしようとしたその時、男は財布を手に取って、 中身を確認し始めた。
「ちょっと待ってください、私はただの通りすがりです!」焦って言ったが、男は無視して、財布を開けた。
「…あれ? 15万しか入ってないですね。」
男は無表情で言い、私に財布を返した。「まぁ、いいですけど…あなたのものじゃないので、気をつけてくださいね。」
その瞬間、私は心の中で 怒りと混乱がこみ上げてきた。彼が言っていた「盗んだ」という言葉に、 何の根拠もなかった ことに気づき、腹立たしさが湧き上がった。
「本当に、なんなんだこいつは!」
財布の中身が 15万 に減っていることを確認した後、その男は 何事もなかったかのように立ち去っていった。
結末とスカッと感
その後、財布を店員に渡して、私はその場を立ち去った。男の行動に納得いかなかったが、結局 財布を届けることができた ので、少し安心した。
だが、心の中で すっきりしない気持ち が残った。
無断で人を疑い、勝手に中身を確認する という行為には、 何の理由もなかった。あの男の行動には、不快感しか残らなかった。
私は 不安定な心情のまま その場を離れたが、他の人がこれをどう思うのか、少し考えてみた。
結局、財布を無事に届けることができたことは良かったが、あの男の行動が全く許せなかった。
次回は、もしまた同じようなことが起こったら、私は 迷わず警察に届ける と心に誓った。
終わりに
結局、財布を拾って返したことは正解だったのかもしれない。だが、あの金髪男の行動とその言動が、私の心に 大きな不信感を残した。
もし私がその財布を持って帰っていたとしても、 誰にも責任を取らせることができなかっただろう。社会の中で何が正しい行動かを見極めることが、これからも重要だと思った出来事だった。