電車内で無障碍スペースを占領した男
その日、私は仕事を終えた後、駅から帰る途中、いつものように電車に乗った。新しい季節が始まり、車内も少し賑やかになってきた。混雑していたが、なんとか座席を確保し、スマホを見ながら目的地に向かっていた。
電車の車内には空いているスペースがいくつかあったが、特に目立っていたのが、車両の 無障害スペース だった。そのスペースは、通常、 車椅子の乗客やベビーカーを使っている親 のために設けられている。
ところが、その日、いつものように車両内を歩いていると、目を疑う光景が広がっていた。
無障碍スペース に、見知らぬ男が 折りたたみ椅子を広げ、荷物を並べて座っている ではないか。
「え? 何してるんだ?」
男はスマホをいじりながら、完全にそのスペースを占拠している。周りにいる乗客たちも困惑した様子で、その行動を見守っていたが、誰も注意しようとしない。
私はその光景に腹が立ってきた。
「ちょっと、これはさすがにひどいだろう」
その男は、他人のために空けられた重要なスペースを 完全に無視
していた。周りには他にも立っている乗客がいたが、特に問題視している様子もなかった。
そして、私が乗っている車両には、車椅子を使っている高齢の男性が乗っていた。彼は、どうしてもそのスペースが必要だったはずだ。しかし、その男の無神経な行動が その高齢者に直接影響を与えている ことに気づいた私は、もう我慢できなかった。
「すみません、そのスペースは車椅子用です!」
私は男に声をかけた。彼は驚いた様子で顔を上げたが、すぐに無視して再びスマホに目を落とした。
「ちょっと、あなた、そのスペースを使ってるの、分かってますか?」
私は少し声を大きくして言った。すると男はやっと顔を上げ、私を見たが、まるで私の言葉を無視するかのように、
「ここ、空いてるから大丈夫でしょ?」と答えた。
その言葉を聞いて、私は唖然とした。
「大丈夫じゃないんだよ。ここは他の人が使う場所なんだ」
その瞬間、男は少し表情を変え、 面倒臭そうに立ち上がって その椅子を畳み始めた。だが、すぐにまた元の位置に戻り、椅子を広げて座り込んだ。
「もういい加減にしろよ!」
私はついに堪えきれず、強い口調で言ってしまった。男は 少し顔をしかめたが、無言でスマホをいじり続けた。その間に、高齢の男性は 車椅子でやっとそのスペースに来たが、場所がない ために通れなかった。
その光景を見て、私は再び怒りが込み上げてきた。周りの乗客たちは、何も言わずにただ見守っているだけだった。
「おい! これじゃあ、車椅子の人が困ってるだろ!」
私の声が車内に響き渡った。
その時、車掌が車内を歩いてきた。私はすぐに車掌に向かって話しかけた。
「すみません、あの男が無障碍スペースを占領してるんです! ちゃんと注意してほしい!」
車掌はすぐにその男のところに行き、何か言っていた。男はしばらく無言で車掌を見ていたが、すぐに 椅子を畳んで立ち上がり 、そのスペースを空けた。
その後、車椅子を使っていた高齢の男性はやっとそのスペースに入れたが、顔には疲れと怒りが混じっていた。
私もその場面を見て、 胸がスッとした と同時に、まだ少し不満が残っていた。
「どうして誰も最初に言わなかったんだろう?」
周りの乗客たちは、結局その男が立ち去るまで何も言わなかった。車掌も、もっと早く介入できたはず だ。
終わりに
電車の中で 無障碍スペースの不正占有 は、決して許されるべきではない。あの男のように、自分だけが良ければいい という考え方が、いかに他人に迷惑をかけるか、改めて実感した。
私たちは、公共の場での マナーと責任 を守るべきだ。
そして、もしその男が最初から そのスペースを他の人のために空けていたら
、あの高齢者も 不快な思いをせずに済んだ はずだ。
次からは、もしまた同じような場面に遭遇したら、私は ためらわずに注意をしていこう と心に誓った。
こういう小さなことが、社会全体を良くしていくためには必要だと感じた一日だった。